サードプレイスは会社員にこそ必要? コクヨのコワーキングスペースで考えてみた

ビジネス

更新日:2018/2/23

■「公園」のようなスペースづくりで、人と人のつながりを生む仕掛け

――ここのオープンスペースにはソファがあったり、カウンターがあったり、変化と遊び心のあるデザインになっていますね。

鬼塚: 多くの人が集う“公園”のようなスペースを意識して、あえて統一感を出さずに、さまざまな要素が寄り集まったデザインになっています。靴を脱いでリラックスできるスペースは、まるで芝生に寝転がるように皆さん作業をされてます。
 エントランス部には“合い間”という言葉をもじったaiiima(アイーーーマ)と呼んでいるガラス張りのショーケースがあります。個人でも企業でも1週間単位でレンタルすることができ、さまざまな企画のプロモーションの場として使えます。こういう発信の場を設けているコワーキングスペースは、都内でも珍しいと思います。

――施設の利用者はもちろん、渋谷ヒカリエの来場者にも自分の仕事をアピールできるんですね。

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鬼塚: MOVを通してもっと外部とつながってもらう機会として、MOV市という“仕事と働き方の見本市”を毎年開催しています。メンバーがブースを構えて、自分のスキルやお仕事を発信しようという年に一度のイベント。次回2018年2月24日(土)に開催しますので、ぜひヒカリエの8階に足を運んでみてください。

――コワーキングと聞いても、「自分は会社勤めだから関係ない」と感じている読者もいるかもしれません。この点についてはどう思いますか?

鬼塚: そうは思いません。近年、家庭とも職場とも異なる創造的な空間「サードプレイス」の重要性が指摘されています。MOVのメンバーはセカンドプレイス(オフィス)としてご利用いただく方が多いですが、サードプレイスとしてご利用いただくこともできます。メンバーの中には、会社帰りに立ち寄って資格の勉強をするとか、パーティだけ参加されるとか、週末に顔を出してプライベートな時間をゆっくり過ごすという方もいますよ。

■コワーキングはわたしたちの働き方を変えるきっかけになる?

――最近ではちょっとした仕事に街中のカフェを利用する人も多いですが。

鬼塚: カフェとの違いは、周囲が仕事モードで集まっているので、集中しやすいということ。全席に電源が完備されているので、電源を求めてさまようこともありませんしね(笑)。
 それとやっぱりさまざまな職業の人たちと交流できるのは大きいです。なかなかアイデアが浮かばなくて悩んでいる時でも、ちょっとした会話から打開策が見つかったりするもの。人と話すことで得られるヒントは侮れません。

――それでは最後の質問です。コワーキングは、わたしたちの「働き方」を変えるきっかけになると思いますか?

鬼塚: そう思います。わたしはこのMOVの担当になるまで、まったく別の部署で働いていて、その当時は毎日オフィスに行くのが当たり前、いつもの席、いつものメンバーで仕事をするのが当たり前という毎日でした。その常識がコワーキングに関わるようになって、がらがらと崩れました。何を業務として自分がやるのか、どこでどのように働くかは自分で選択をするものだ、という意識が強くなりました。
 コワーキングスペースは誰もがそういう発見や気づきをもらえる場でもある。それは必ず日々の仕事や生活にフィードバックがあるはずです。フリーランスでも会社勤めの人でも、そこは一緒だと思うんですよ。

取材・文=朝宮運河