女より根深い「男の嫉妬」に抹殺されないための処世術とは?

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更新日:2018/3/14

 新刊『働く女の品格』(毎日新聞出版)のなかで、「世間では、女性のほうが嫉妬深いというイメージがありますが、私は男性のほうが怖いと思っている」と語るのは、『アンガーマネジメント 怒らない伝え方』(かんき出版)、『マンガでやさしくわかるアンガーマネジメント』(日本能率協会マネジメントセンター)などの数々のヒット書籍を生み出している戸田久実氏。単に「あの人が嫌い!」と感情的になって意地悪をする女性の嫉妬に対し(前編)、男性の嫉妬は、より鋭利かつ根深いようだ。過去3000以上の登壇を行い、民間企業や官公庁に伝わるコミュニケーションや感情コントロール法を伝授し続ける戸田久実さんに、男性の嫉妬と、その対処法を聞いた。

 

■男性の嫉妬の特徴

 男性は女性以上に、メンツや名誉、社会的地位にこだわります。そのため、男性は自分の地位や立場を脅かすような相手に対しては警戒し、足を引っ張り、蹴落として、ひどい場合は社会的抹殺を狙います。「なんか気にいらない」という女性の嫉妬の場合は、一定期間無視していれば、相手も張り合いがなくなり攻撃を仕掛けることをやめますが、男性の場合はなかなかそうはいきません。自分の社会的地位を脅かす人はどこまでも嫌いですし、人によっては優秀な部下を潰すしかないと思う人もいます。こうしたことは今に始まったことではなく、常に生きるか死ぬかの戦いを強いられてきた男性としての習性なのではないかとも思います。

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 マウンティングは女性だけではなく、男性間でもあります。特に男性の場合、初めての顔合わせや自己紹介の場で、「オレのほうが上」と示すマウンティングをよく見かけます。「君、何年目?」「3年目です」「あ、そう。僕、5年目」といったような会話です。相互信頼や伝わるコミュニケーションをテーマにした研修で自己紹介をしていただく際も、女性同士は「●●の部署なんですね。●●さん知ってます?」と相手との共通点を探そうとするのですが、かたい職場で働く男性ほど、「●年目です」と序列を意識しがちです。同じ企業であれば、入社年や役職、異業種であれば、企業の規模や年収といったことを知りたがります。

■抹殺を試みる嫉妬深い上司への対処法

 仕事は好きでやりがいがあるものの、上司がとにかく嫉妬深くて、いつ虎の尾を踏むかと気が気じゃなくて生きた心地がしない。そんな場合はどうすればよいのでしょう。

 1番の対策としては、「私、あなたの敵じゃないから」オーラを出すことです。部下が有能であればあるほど、嫉妬深い上司はイヤミを言ってきたり、マウンティングを仕掛けてきたりします。そのときに活用したいのが「●●さんにそう言っていただけて光栄です」「いつもありがとうございます」「勉強になりました」といったフレーズです。一瞬イラッときたら、怒りのピークと言われる「6秒」を待つ「アンガーマネジメント」を使って立ち止まり、そこで応戦しないようにします。戦うことほど不毛なことはありません。

 相手が男性の場合、自尊心を傷つけないように心がけることも重要です。「私はあなたの自尊心や社会的地位を脅かす相手ではありません」といかに相手に伝えるかが鍵となります。相手の攻撃に対して、「でも」や「だって」と下手に言い返したり、クヨクヨ悩んだりすれば相手の思うツボですので、相手にせず、戦わず、相手の手が届かないところまで飛躍することに意識を向けて行動するよう心がけましょう。

 何より嫉妬は相手の問題であって、あなたの問題ではありません。あなたが何かをしたからといって、どうなるものでもないのです。うまくやり過ごすことが一番です。

■自分が嫉妬に駆られているときは素直に認める

 逆に自分が嫉妬深くて困っている場合は、素直にそれを認めてしまうのが賢明です。それから自分がどうなりたいかというほうに意識を向けます。

 嫉妬して相手の足を引っ張ったり、嫌がらせをしたりすることほど無駄なことはありません。怒りも同じことが言えますが、自分の力でコントロールできないことをどうこう思っても何もよいことがありません。仮に、自分の仕掛けた罠に相手がうまくはまったとしても、結果的に後味が悪い思いをするのは自分ですし、幸せにはつながりません。

 嫉妬する人も嫉妬に応戦する人も、自分に嫌な思いをさせる相手にどう仕返しをするかと考えがちですが、そう考えている間は明るい未来はないでしょう。「なんでこんなことするの。なんで、なんで、なんで」と考えたところで答えが出るわけでもなければ、何かが解決するわけでもないからです。

 イライラしたり、怒りを感じたりしたときは、その感情にとらわれることを一旦ストップし、湧いてきた感情の整理をすることをおすすめします。イライラする状況を書き出した上で、「コントロール可・重要」「コントロール不可・重要」「コントロール可・重要ではない」「コントロール不可・重要ではない」という4つのマスに振り分けます。自分の力でコントロールできるもので重要なものに関しては今すぐ行動し、重要ではあるもののコントロールできないものに関してはその現実を受け入れて、今自分ができることを考えるなど、整理することで見えてくることが多々あります。ぜひ4つのマスを活用してみましょう。

■嫉妬という感情は使い方次第でプラスにも働く

 最後に、嫉妬という感情は決して悪いものではなく、使い方次第で必ずプラスに働かせることができます。うらやましがっている自分を素直に認めることで、嫉妬を原動力にすることが可能です。知人の転職がうまくいったら、私もがんばらなくてはと思う。欲しいものを誰かが持っていたら、自分も手に入れようと今まで以上に仕事に精を出す。怒りにも同じことが言え、くやしいからがんばるといった具合に、怒りを建設的な行動を起こすための原動力にできたら、その人のためになるでしょう。それが逆に誰かの足を引っ張ったり、相手にダメージを与えたりとなってしまったら非常に残念です。

 嫉妬や怒りに駆られてしまう人は、どこか満たされていない部分があるのかもしれません。とはいえ、人はすべてが満たされることは絶対ありません。誰もが何かしらの事情を抱えて生きているものです。今、手にしている状況を客観視して、それで幸せと思えるかどうか。その力があるかどうかに尽きると思います。

 嫉妬を抱かない人たちは、今の自分に自信があり、また今の自分を受け入れる力のある人たちです。自分自身を認める力を養うことで、他人の成功を心から喜べるようになる。うらやましいと思う感情を、原動力に変えられるようにする。そうすれば、いくつになってもより成長でき、しなやかな人生を送れるのではないでしょうか。

取材・文=山葵夕子

「なんか気にいらない!」という女の嫉妬に翻弄されないための対処法