その生きづらさは「心の冷え症」が原因かも。ラクに生きるために…“心のクセ”の直し方
公開日:2018/2/27
「やらなければならないことばかり」「他人に甘えられない」「誰も自分を認めてくれない」「生きづらい」…。そんなことを感じる人は、もしかしたら、「心の冷え症」に侵されているのかもしれない。20年近く大学病院やクリニックで延べ4万人の患者を診てきた内科医・小室朋子氏によれば、体に不調を訴えながらもはっきりとした病名がつかない人の多くは「心の冷え症」を抱えている場合が多いのだという。「心の冷え症」とは、「~すべき」という固定観念に縛られ、心が冷え固まった状態のこと。この状態を解消するにはどうしたらいいのか。小室氏は著書『心の冷えとり 人生を変えるのに必要な38のレッスン』(WAVE出版)のなかで、本物の幸せが手に入る心のクセの直し方を教えている。
■「やらねばならない」ことをやらなかったらどうなるの?
あなたが「やらねばならない」と考えていることは、本当に「やらねばならない」ことなのだろうか。「全部自分がやらなくちゃならない」と決めつけ、命令しているのは、実はあなた自身なのではないか。一度全部やめてみて、確認してみるとよいと小室氏はいう。「絶対にやらねばならないこと」であれば、やらないと大変なことが起こるはずだが、意外となんとかなってしまう。この世にあなたの心身を壊してまで絶対にしなければならないことなどあるはずはない。
■「おばさん力」と「かわいげ」が大切
小室氏によれば、心の不調が出やすいのは、「小さなことが気になってしまう人」や「言いたいことを言い出せない人」が多いという。一方で、細かいことを気にしない人は心に不調を抱えにくい。他人からカチンとくるようなことを言われたときに、少し図々しいぐらいに鈍感でいたり、思ったことをすぐに口にしてしまったりすること。そんな「おばさん力」が、人生を楽に生きるコツだ。また、誰からも手を差し伸べてもらうような「かわいげ」も大切。素直な自分を出せるように心がけてみよう。あれこれと悩まずに、「私は私なのだ」と開き直り、「自分を好きになる」こと。これなしでは、人が満たされた気持ちで生きられることはない。
■「本当の自分」はどこにいってしまったのか
小室氏は、心の不調が生じる状態を、植林された木にたとえる。植林された木は、ある程度の太さと高さになると価値が高いとされ、見栄えを整えられて育てられる。だが、本来、私たちは生まれたとき、それぞれが自然に生えている一本の「雑木」だったはずだ。いつのまにか植林として生きるようになったから、「生きづらさ」を覚える。それぞれの木は、お互いを比較するまでもなく、ただ、生えているだけで美しい。周囲と比べる必要はない。周囲からの承認がなくとも、その人はその人であるはずだ。
■「素の自分」のファンになろう
人間関係で悩む大きな理由になるのが、「みんなから好かれたい」「誰からも嫌われたくない」という実現不可能な望みを持つからだろう。特に最近ではSNSで自分の生活を切り取り、顔もわからない「みんな」や「誰か」に向けて発信することが多いから、全員に認められたいと思ってしまう。だが、生きていれば、誰かからは好かれ、誰かからは嫌われることが自然だ。飾り立てた自分ではなく、「素の自分」のファンに自分自身でなってみよう。
心に感じるどうしようもない満たされなさ。この本を読んでいると、それを生み出していたのは、自分自身だったのかもしれないと気づかされる。心身の不調を感じている人はぜひともこの本を読んで自分自身としっかりと向き合ってほしい。少しの心がけで、あなたの人生はグンと生きやすくなるはずだから。
文=アサトーミナミ