「儲けるなんて簡単よ」桜子さんの敏腕コンサルで、あなたの会社も年商1億円に
公開日:2018/2/28
「億りびと」「億万長者」などお金をたくさん持っている人の言葉に登場する「億」という単位。それだけ、実際に稼ぎ出すことが難しい金額の高さを示している。億単位の年収を耳にするなど、プロスポーツ選手の契約更改くらいではないだろうか。
ところが、今日紹介する『小さな会社のビジネスモデル超入門 すぐに1億円』(高井洋子/ダイヤモンド社)はタイトルの通り「すぐに1億円」とある。「大袈裟」あるいは「大きな会社であればまだしも、うちのように小さな会社では…」と思う読者が多いかもしれない。少なくとも私はその一人だった。
しかし本書を読み進めることで、余計なこだわりや偏見を持たず、しっかりとしたビジネスモデルを構築すれば、「すぐに1億円」の達成も不可能ではない。どの法則やルールも実に理にかなっている。むしろ、これをやらずしてビジネスを成功させるのは難しいのでは?と思えるほど説得力がある。
■ビジネスモデルを明快にする2つのキーワードを紹介
本書の内容は決して難しいものではない。儲かるための仕組みづくりについて、図表を用いながら説明しており、とても丁寧でわかりやすい。さらに主人公となる敏腕コンサルタント・遠山桜子が痛快に店舗を立て直す、という小説仕立てでストーリーが展開するので、スラスラ読み進めることができる内容だ。さらに章の終わりごとに解説が加えてあるため、ただストーリーが面白かったと単純に終わることもなく、学ぶべきポイントを把握しやすい。
桜子さんの活躍ぶりは本書を読んでいただくとして、1億円以上の売上を達成するためのビジネスモデルを構築する際の2つのキーワードを紹介したい。
一つ目は「ジョウゴの法則」というもの。
本書では逆三角形の形をしたジョウゴの図が度々登場する。この法則は本当に売りたい「本命」商品・サービスを買ってもらうために、いわば「おとり」の商品を用いて集客する仕組み。何度も商品を買い続ける「リピーター」になってもらい信頼関係を作りあげた後に、「本命」商品を提案するという流れだ。
まずは、このジョウゴの法則で「本命」と「おとり」商品を作り、「本命」までの導線を構築することこそが、利益を生み出す基本的な考えだという。もし、ビジネスモデルを構築していない寿司屋やパン屋があるとしたら、とりあえず一生懸命商品を作って、順に店頭に並べるのではないだろうか。だが、それでは鳴かず飛ばずで終わってしまうはずだ。
もう一つが「ストックビジネス化」だ。ストックとは蓄積。つまり、初めて来るお客さんに商品を売ることを繰り返すのではなく、積極的に“常連さん”を築くということ。例えば月額会員制の導入や、お父さん・お母さん・子どもら家族を巻き込んで店を利用してもらう仕組みを作るなど。ストックビジネスであれば、一定の収益が望めることも大きなメリットだ。
■「1億円儲けること」は、誰にとっても他人事ではない
本書はタイトルの通り「小さな会社」がターゲットだ。しかし、本書に掲載されているビジネスに対する考え方は小さな会社、あるいはフリーランサーだけでなく、大きな会社でも必要となるだろう。
「自分は経営に携わらないから」と目を背けているのではなく、このようなビジネスモデルを学ぶことで、経営陣の意図を汲み取れるようになり、戦略・戦術を具体的に提案できるようになるだろう。そうしてただの部下から右腕・パートナーになることで、仕事はもっと楽しくなる。そんな未来を描いてみるのもいいのではないだろうか。
文=冴島友貴