親が幸せなら、子どもも幸せ! 世界一ハッピーなオランダ流子育てメソッド

出産・子育て

公開日:2018/2/28

『世界一幸せな子どもに親がしていること』(リナ・マエ・アコスタ&ミッシェル・ハッチソン:著、吉見・ホフストラ・真紀子:訳/日経BP社)

 夜泣きやママ友との付き合い方、お受験問題、反抗期…。子どもの年齢によってその内容に違いはあれど、子育ての悩みを抱える母親は多い。日本ではキャリアの中断などを理由に子どもを望まない女性も増え、少子高齢化の原因のひとつになっている。これらのことから私たちは多かれ少なかれ、「子育てをするためには何かを犠牲にしなければいけない」という意識を持ってはいないだろうか。

 その意識を変え、悩める母親の育児の道しるべとなる1冊が、『世界一幸せな子どもに親がしていること』(リナ・マエ・アコスタ&ミッシェル・ハッチソン:著、吉見・ホフストラ・真紀子:訳/日経BP社)だ。オランダ人の夫との結婚を機にオランダで子育てをするアメリカ出身のリナさんと、イギリス出身のミッシェルさんの共著である。

 ユニセフが実施した調査によると、オランダの子どもの幸福度は世界一だという。著者たちは自国とはまったく違う子育ての光景に驚き、幸福度1位の理由を調べ始める。

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 本書では主にアメリカとイギリスが比較対象として挙げられているが、競争社会で完璧な子育てを求められがちな日本の母親も学ぶべきことが多いはず。子どもに幸せを感じてもらうためのオランダ流子育てメソッドをいくつか紹介しよう。

■子どもに自由を与える

 オランダの子どもは、就学前でも親から離れて平気で外で遊ぶ。オランダ人の親は、彼らの監視なく子どもを外で遊ばせることで、独立心を教え、鍛えようと考えているのだ。「一度も転んだことがなかったら、どうやって転ばないようにすればいいのか学ぶことができない」というのがオランダ流。親が心配してつきまとうことで、神経質で用心深い子どもにしてしまうことを恐れている。ただ、子どもが出かける前に明確なルールを一緒に決め、時間管理にこだわることや、自分自身で危険に対処する方法をしっかりと教えることが大切なようだ。

■競争に対するプレッシャーがない

 オランダの子育てでは、楽しく遊ぶことが良い成績を取ることより重要だと考えられている。高いレベルの学校に進学するために塾に通わせられたり、小学校で宿題を出されたりすることがない。中学校でも10点満点の試験のうち、6点を取って卒業資格を取得すれば大学に進学することができるため、みんなそのレベルで満足している。競争して優秀な成績を取らなければというプレッシャーを感じないので、クラスメイト同士の仲がよく、学校へ行くことを楽しみにする子どもが多いのだという。

■親も幸せでいる

 子どもだけではなく、親であるオランダ人女性も世界のほかの国々の女性よりもずっと幸せであるという。その理由は、彼女たちが自由な時間を持ち、ちょうどよいワークライフ・バランスを保っているから。先進国では、専業主婦とワーキングマザーの両方が自分の立場に罪悪感を抱え、それを埋めるために完璧な母親であろうとするが、オランダにはその概念がない。母親も父親もパートタイム勤務を選ぶことが多いが、そのことで社会的地位に影響が出ることもないという。オランダ人女性の75%がパートタイム勤務を選んでいる。子どもと過ごせる時間がたくさんあるので、その時間に何か特別なことをしようと自らにプレッシャーを与える必要がないのだ。

 オランダ流子育てメソッドを今の日本で実現するには、難しい点も多くあるだろう。しかし、完璧を目指さず、親自身も幸せでいようとするオランダの人たちのあり方に、子育てのたくさんのヒントが散りばめられているはずだ。最近疲れがたまっていると感じるお母さん、まずは慌ただしい毎日の中にリラックスタイムを設けて、自分を労わることから始めてみては。

文=佐藤結衣