「とりあえずやってみる」がポイント! 独学で東大教授になった著者の「独学勉強法」とは?
公開日:2018/3/13
受験、資格試験、就職試験に昇進試験。これまでの半生を振り返ってみて、勉強が「楽しかった」と言える人はほとんどいないのではないだろうか。教科書を広げて必死にノートを取ることで詰め込んだ知識は、社会に出てからは役に立たない。そんなふうに考えている人にぜひ読んでほしいのが、『東大教授が教える独学勉強法(草思社文庫)』(柳川範之/草思社)だ。中学を卒業して以降、高校へは行かず、独学で通信制大学から東大教授になった著者が、自らの体験に基づいて、仕事にも人生にも役立てられる“学び方”を提案する。
■そもそも、なぜ勉強するのか?
モバイル機器が普及し、インターネットがいつでも手軽に使える今、「知識や情報を覚えている」ことの価値は昔に比べて小さい。そのぶん、得た知識や情報を使って「選ぶ」「決める」ことの比重が大きくなっているのだ。本書で紹介されるのは、受験勉強で教わったような、「この問題はこう解け」というテクニックとしての勉強ではない。答えのない問いに答えを見出そうとする、ビジネスにおいても有効な勉強のやり方を身につける方法だ。それさえ身につけておけば、技術の進歩や転職など、自分を取り巻く環境がすっかり変わってしまっても、新しく生じた問題に戸惑わず答えを出せるだろう。
■“独学”なら勉強に挫折した人でも大丈夫
独学の最大のメリットは、自分が学びたいことを、自分のペースで勉強できること。取り組んだ問題集を2割しか終えられなくても、立てた目標を達成できなくても、独学ならそれでいい。実際になにかを学びはじめれば、予想しなかったいろいろなことが見えてくる。勉強は、最初に掲げた目標をなにがなんでもやり遂げるのではなく、疑問や興味に応じて臨機応変に進めなければうまくはいかない。完璧主義者でないほうが、むしろ独学には向いている。気楽に「とりあえずやってみる」のが、独学をはじめるうえでのポイントだ。
■勉強する前に“勉強のやり方”を知ろう
とはいえ、いきなり“勉強”をしようと思ってはいけない。ひとりで学ぶには、まず“勉強のやり方”をマスターする必要がある。独学は、いわばマラソンのようなもの。少し時間をかけて準備運動をすることが必要だ。まずはテーマをあまり決めずに、いろいろな本を読んでみよう。最初の10ページで読むのをやめてしまう本があってもいいし、この勉強がしたいと思うものが見つかるまで、1週間かかっても半年かかってもいい。気をつけたいのが、「とにかく長時間勉強すれば頭がよくなる」と思い込んでしまうこと。ただ長時間本に向き合うのではなく、テキストをどんどん替えて「自分はこういう説明をされると理解できる」という理解のパターンを見つけ出したり、自分の理解のスピードを把握したりと、考えながら読むことで、勉強のコツをつかもう。
今の会社ではそれなりにうまくやっているけれど、なにか別の道もあるのではないか。打ち込めるものを探したい。そんなときは、自分が興味を持てるものについて、少しでも勉強してみてはどうだろうか。就職活動という短い時間で、一生打ち込める仕事を見つけるのは不可能に近い。教養や趣味にしたって同じだ。まずは気軽に勉強してみて、おもしろいと思ったら深めてみる。やり遂げたいという意志が芽生えてきたら、その時点で方向転換すればよいのだ。ぜひ本書を参考に、気楽に構え、いろいろな分野の勉強を試して、新しい世界を広げてほしい。
文=三田ゆき