40代女性の4人に1人が独身! 「おひとりウーマン」が求める、そのココロとは?

社会

公開日:2018/3/6

『「おひとりウーマン」消費!』(牛窪 恵/毎日新聞出版)

 おひとり様という言葉がトレンドになったのは、すでに10数年前のこと。そして、いまや40、50代ともに、女性の4人に1人が独身だという。『「おひとりウーマン」消費!』(牛窪 恵/毎日新聞出版)は、巨大市場を支配する40、50代の「おひとりウーマン」への深く迫った取材により、これからの「売れ筋」を読み解く1冊である。著者の牛窪恵氏はトレンド評論家で、マーケティング関連の著書も多く、おひとり様マーケットの第一人者として知られている。

 消費好きなバブル世代と、団塊世代の娘たちを含む「おひとりウーマン」。贅沢になれ美容や衣食住にこだわりを持つバブル世代も更年期にさしかかり、アンチエイジング、健康、恋やパートナー探しなど、新たな消費も生まれてきているという。無印やユニクロに親しんできたため、「シンプル世代」とも呼ばれる団塊ジュニアは、核家族で育ったため、ひとりを楽しむ術をよく知っているという。共通するのは、根拠なき自信と上昇志向をもち、若さや自分磨きを追求していることらしい。

「おひとり時間をいかに謳歌するか」にエネルギーを注ぐ一方「ひとりだからこそ、きちんと丁寧に」「誰かの役に立ちたい」と考える彼女たち。孤独死の可能性を念頭に、墓トモ探しなど、つながりを求めて準備するのは、血縁や親しい人に迷惑をかけたくないという思いからである。

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 以前、著者と社会学者の山田昌弘氏が対談した際に、山田氏は男性の場合は収入や雇用形態によることも多いが、女性の場合結婚できないのは「運でしかない」と述べていたそう。また、経済学者の亀川雅人氏は「男女で手分けして」という分業の必然性が弱まればおのずと社会は個に向かうもの、と分析する。ネットやITの進化で時代はますます個へと向かうのだろうか。

 プチ富裕層であってもメルカリで買い物をするし、貧困予備軍だからといってサイゼリアで食事をするわけでもないという、推察しにくい「おひとりウーマン」の消費行動であるが、ポイントは、「自分の心が満たされるもの、喜ぶこと」なのだそう。しかし壮年パラサイトシングルも多く、経済的な実態はみえにくいという。ソロ・ウエディング、プチ湯治、ホテルの朝食などを求める彼女たちの、消費に込めるココロや気分などを理解することで、未来のビジネスチャンスが見えてくるだろう。

文=泉ゆりこ