生きることは、孤独なこと――。背中を押してくれる、心に沁みる言葉

暮らし

公開日:2018/3/12

『孤独を生きる言葉』(松浦弥太郎/河出書房新社)

 どんなに多くの人とSNSでつながっていても、人は時々、無性に孤独を感じることがあるのではないでしょうか。一人でいる時、家族や友人といる時……幸せな時でさえ、なぜかふと、寂しくなる……。

 孤独からは逃げられません。だから、うまく付き合っていくしかないのです。『孤独を生きる言葉』(松浦弥太郎/河出書房新社)は、人気エッセイストが書き下ろした「孤独を生きるあなたに寄り添い、その背中を押す」箴言集です。

自分だけが、たった一人で生きている。
そんな思いにがんじがらめになり、身動きがとれなくなる人もいるでしょう。
(中略)
どうやら孤独というものは、扱いがずいぶんむつかしいもののようです。
そんな孤独とうまくつきあうには、見つめて、受け止めて、やさしく抱きしめることです。

 本書では、「自分を好きになって」孤独に立ち向かう勇気をくれる150の言葉が紹介されています。個人的に、心に刻んでおきたいと思った言葉をいくつかご紹介しましょう。

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いつも人のしあわせをよろこべる自分でいる。

 人と自分を比較して、相手をひがんでしまったり、「あの人だけずるい」と嫉妬してしまったり……心に余裕がない時、ついそんな自分が出てきてしまいます。

 けれど、「比較や嫉妬は成功の敵」。自分を好きになるためには、人の幸せを喜べるように心をコントロールできるようにしましょう……とのこと。簡単ではないけれど、他人の幸せを喜べるようになったら、人生の幸せが2倍になる気がします。

すべての変化は「成功」です。

 誰しもそうかもしれませんが、私は特に「変わる」ことが怖いです。環境や仕事、友人関係などが「変化」することが、とてもおっくうだし、怖いと感じます。何よりも「安定が一番」と思っていましたが、本書では「変わらない自分でいたら、たしかに安らげるかもしれません。でも、そこには成長はないものです」とありました。

「変化」は「悪くなる」ことではなく、「成長」だと、「前進している証」だと思えば、少し「変化」が怖くなくなりました。

心の中にテーブルを用意する。

 私は「The心の狭い人」でして……(笑)。融通が利かなくて、私の心の中のテーブルはとても小さく、イスの数も位置も1ミリたりとも動かせなくて、なぜか自分でも、それを「変えられない」と思い込んでいたような気がします。

 だけどそうではなく、「一人のお客さんも、二人のお客さんも、グループでも座れる場所。カフェにある大きなテーブル」を自分の心に持った方がいいと書いてあり、思うところがありました。

ここは誰が来てもいい。誰が座ってもいい。黙っていてもいいし、自由に話してもいい。そんな大きなテーブルが心の中にあれば、人にやさしくなれるのではないでしょうか。

 ……私も、心に大きなテーブルを置きたいと思います。

最後に助けてくれるのは自分です。

 苦しい時、つらい時、悲しい時、どんな時でも結局「最後に助けてくれるのは自分」。この覚悟を持つことが「大人として生きていくことではないでしょうか」。厳しい言葉に聞こえるかもしれませんが、この「覚悟」は絶対に必要なものだと感じました。

 いかがでしたか?

 ご紹介したのは、あくまで私の心に刺さったものです。「孤独」に対してどう向き合っていいのか分からない方、本書を開いてみてください。心に寄り添ってくれる言葉が見つかるはずです。

文=雨野裾