【ダ・ヴィンチ2018年4月号】Cover Modelは、TEAM NACS!
更新日:2018/3/9
Cover Model TEAM NACS
2月3日大阪にて、TEAM NACS 第16回公演
『PARAMUSHIR~信じ続けた士魂の旗を掲げて』がいよいよ幕を開けた。
リーダー・森崎博之が自ら企画し、約6年ぶりに演出を務める。
今回、本誌ではTEAM NACSの年長組、森崎と安田の対談と
その同時刻に行われた年下3人、戸次、大泉、音尾の鼎談を掲載。
本公演への思いに加え、
北海学園大学演劇研究会での出会いや
TEAM NACS黎明期について、
また、これまでの軌跡をたどりながら、
これからのTEAM NACSを見据えて、さまざまを語り合った。
そんな第16回本公演記念インタビューの中で、
それぞれのメンバーが選んだ本とは?
森崎博之
『8月17日、ソ連軍上陸す 最果ての要衝・占守島攻防記』
大野 芳 新潮文庫 550円(税別)
昭和20年8月15日、終戦の詔勅。しかし戦争は終わっていなかった。17日深夜、最北の日本領だった千島列島・占守島に、突如としてソ連軍の大部隊が来襲。日本軍の3日間にわたる死闘が始まった。ソ連の北海道占領は、いかにして阻まれたのか。知られざる戦争の全貌を浮き彫りにした畢生の歴史ノンフィクション。
「この本は、『PARAMUSHIR』の資料として集めたものの一つです。初めて読んだのは、10年ほど前。思想とは関係なく、あの時代にこういう人たちがいてくれたから、今の僕たち、今の日本や北海道があるんだなと思いました。僕らのお芝居を観る前でも後でも、皆さんにこの本を手に取っていただけたら嬉しいですね。少しでも皆さんが興味を持ってくださったら、この歴史は埋もれることなく受け継がれていくと思うんです」(森崎)
安田 顕
『この世界の片隅に』(上・中・下)
こうの史代 双葉社アクションC 各648円(税別)
広島市江波で生まれ育った絵を描くのが得意な少女、浦野すず。北條周作に嫁ぎ、呉で暮らし始める。不器用ながら北條家に徐々に溶け込んでいくが、戦争が激しさをまし、空襲や原爆が彼女の世界を歪ませていく。懸命に慎ましく生きるすずたち市井の人々の姿が胸を打つ。2016年に公開された劇場アニメも大ヒットを記録した。
「本当に出会えてよかった作品です。上っ面の感動ではなくて、市井の人々の人生が見事なドラマになっています。実は舞台である呉や広島を巡ったんですが、まるでそこにすずさんが生きているかのように感じました。心情表現も極めて芸術的。とくに“どこにでも宿る愛”に集約される最終回の言葉は強烈です。ただただ温かい涙が溢れます。100年先まで読み継がれてほしい。一度でいいから、こうの先生とお会いできたらいいなと思います」(安田)
戸次重幸
『ゴールデンカムイ』(1~12巻)
野田サトル
集英社ヤングジャンプC 各514円(税別)
明治時代後期。一獲千金を夢見て日露戦争を生き抜いた元兵士“不死身の杉元”が北海道にやってくる。偶然出会ったアイヌの少女アシリパとともに、金塊を手に入れるための旅が始まる!「著者の野田さんにはディレクターとしてのセンスを感じるといいますか……映像的なものをベースとして二次元を表現していると勝手に思っています」(戸次)。
「新刊をいつも楽しみに待っている状態です(笑)。北海道が舞台なので、僕らにはなじみ深い土地や文化が出てくるのもいい。アイヌの方たちが集めたとんでもない量の金塊をめぐる物語が大きな柱なんですけど、野生動物グルメがもう1本の柱として刺さってくる。その構成が新しいなと。今食べたいものは、ヒグマと“チタタプ”です(笑)。“白石”っていうキャラの表情もすごくいいんですよね。こういう芝居ができたらいいなあっていう気分にもなります」(戸次)
大泉 洋
『新・ルパン三世』(全12巻)
モンキー・パンチ
双葉文庫 590〜619円(税別)
国民的アニメで知られる『ルパン三世』の原作。「劇画の絵もすごくかっこいいんですよね」(大泉さん)。アニメの印象とは異なり、ハードボイルドで時に非情なルパンが見られる。「NACSで演じるなら、僕がルパンでリーダーが銭形、安田さんが五右ェ門で戸次さんが次元。音尾さんが、不二子です(笑)」(大泉さんが選んだのは最終巻の12巻)。
「ずっとアニメで観ていて、中学生の時に初めてマンガを読みました。ルパンってめちゃくちゃかっこいいんだ!と思いましたね。原作では平気で人を殺しちゃうし、エッチだし(笑)。昨年、モンキー・パンチ先生が(大泉さん主演映画)『探偵はBARにいる3』の絵を描いてくださったんですよ! 探偵と高田はルパンと次元みたいだと思っていたところもあって、ルパンを意識し演じたシーンもあるので感激しました。ルパン一味にはNACSっぽさもあるでしょ? 個々なんだけど、時々ぐっと集まってくる感じがね」(大泉)
音尾琢真
『陸王』
池井戸 潤
集英社 1700円(税別)
埼玉県の老舗足袋メーカー「こはぜ屋」四代目社長の宮沢は、経営難の中、足袋製造の技術を生かしたランニングシューズ開発に着手する。だが世界的なスポーツブランドが立ちはだかり……。厳しい状況の中奮闘する、こはぜ屋と周囲の人々を描く。「ドラマを観た方に、ぜひ原作を読んでほしい。どちらにも感動があります」(音尾)。
「ドラマ『陸王』で城戸監督役を演じることが決まる前に、実は読んでいたんです。わりと脂ぎったイメージだったので、演じられるか心配でした(笑)。池井戸さんの作品は、いつも読んでいて映像が見えてきますね。役作りで青山学院大学陸上競技部の原監督にお会いしたんですが、選手を見る目がすごく鋭いんですよ。すべてを見抜こうとする目なんだなと。池井戸さんにお会いしたら、やっぱり目が鋭かった。常に観察している目。だからこそこういう作品が書けるんですね」(音尾)
取材・文:松井美緒、門倉紫麻 写真:江森康之