「明治おいしい牛乳」「ロッテ キシリトールガム」… ロングセラー商品に潜むデザインの秘密

ビジネス

公開日:2018/4/20

 さまざまなヒット商品を手がけてきたデザイナーの理論を紹介する、『大量生産品のデザイン論』。

 著者の佐藤卓は、商品の価値を「見つけ」「引き出し」「つなぐ」ことでデザインが生まれると語っている。クライアントの声を聞いて全ての「想い」を集約させ、いかに唯一無二のデザインを創り出していくか―。同書では、「明治おいしい牛乳」「ロッテ キシリトールガム」などロングセラーになった商品とデザインの秘密を初公開する。

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明治おいしい牛乳

 “社会と接点がないデザイン”は存在しない。「デザイン家電」や「デザイナーズマンション」など、「デザイン=特別なもの」という視点を抜いて身の回りを眺めると、生活のあらゆるところにデザインは存在している。

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ロッテ キシリトールガム

 佐藤は、いかにして「デザインとは付加価値を与えるものではない」「価値はすでにそこに存在している」というデザイン論に辿りついたのか? 同書では、デザインを学んだ経緯や携わった仕事を振り返りながら佐藤のデザイン論が紐解かれていく。クライアントと共に商品の魅力を引き出していく思考とプロセスは、モノづくりに関わる全ての人が共感できるはず。あらゆる商品をデザインしてきたデザイナーの考えを、仕事に取り入れてみてはいかが?

<内容紹介>
商品とは、売れなければ意味がないものです。パッケージデザインは、いわば、売るためのデザインともいえます。パッケージを変えたために売れなくなったという事態があったのでは、話になりません。しかも、デザイン的に優れている商品が売れるかというと、そうではないという現実もあります。すると「デザイナーがかかわると、きれいなものをつくるけれど売れないじゃないか」というようなことも言われてしまう。ここには本能に基づいた、極めて即物的な世界がある。とくに食にかかわるデザインの場合、端正な美しさと、唾液につながる「シズル感」をいかに表現するかというせめぎ合いがあり、そこにどう折り合いをつけていくのかはなかなか困難です。そういった分野に対し、美しいヴィジュアルを目指すデザイナーが二の足を踏んでしまう気持ちは理解できます。(本文より)

佐藤卓
グラフィックデザイナー。1979年東京藝術大学デザイン科卒業、1981年同大学院修了、電通を経て、1984年佐藤卓デザイン事務所設立。2018年4月、社名変更(現・株式会社TSDO)とともに、会長に就任。「ニッカ・ピュアモルト」の商品開発から始まり、「ロッテ キシリトールガム」「明治おいしい牛乳」等の商品デザインを手掛ける。NHK Eテレ「にほんごであそぼ」アートディレクション、「デザインあ」総合指導、大量生産品をデザインの視点で解剖する「デザインの解剖」プロジェクトなど、デザインの普及・教育に力を注ぐ。2017年3月より21_21DESIGN SIGHT館長も務める。

※掲載内容は変更になる場合があります。