女の子は見た目、男の子はエンタメ性がカギ! 国語の教材選びと家庭学習にはコツがある
公開日:2018/3/19
入学シーズンを迎え、もうすぐ期待と不安で胸いっぱいの子どもたちの新生活がはじまる。親も我が子の成長に大きな喜びを感じながら、内心では「うちの子、大丈夫かな。勉強についていけるかしら? 友だちできるかしら?」と心配事は尽きない。特に新小学1年生は、国語、算数の授業がスタートする大事な時期。そして中学年になると社会や理科もはじまる…。
さらに2020年度から小学校高学年で英語も成績の付く教科になり、中学年でも成績は付かないが必修科目となる。大学入試改革もはじまるこの転換期に、我が子が勉強を好きになってくれることを願わない親はいないだろう。
ではどうすれば、子どもが勉強に興味を持つのだろうか? 家庭でどんな学習教材を与えれば、自ら学ぶ子どもに育つのだろう?
そこで各教科で、子ども目線に立った人気学習教材、図鑑、漫画を作っている達人たちに、子どもを勉強好きにさせるヒントを伺った。
小学校入学前の子どもに、ひらがなやカタカナの「読み書き」はどのくらい身につけさせたらいいのだろうか? 幼児向けの学習教材がズラッと並んでいる書店の棚を見て、不安や焦りを感じたことがある親御さんもいるだろう。我が子がすべての勉強の基本となる「国語」でつまずかないために、親がやるべきこととは? 学研プラスの小中学生事業部 教科教育編集室 国語・日本語チーム統括編集長の松田こずえさんにお話を伺った。
――就学前の子どもに、読み書きをどこまで教えるかは親次第ですから、新一年生の国語力はかなり個人差がありますね。学校の授業のレベルが気になります。
松田こずえ編集長(以下、松田) 私自身も、地元の公立小に通う小学6年と3年の息子がおりますので、それぞれ入学前の説明会に行きました。その際は、「入学する時点で、自分の名前がひらがなで読めて書ければいいですよ」という話があったんですね。
新一年生はそのレベルからスタートして、6、7月ぐらいになると主語と述語を使った「ねこが なく。」「いぬが はしる。」といったような二語文をつくる授業に進みます。
ところが、夏休みの宿題でいきなり読書感想文を原稿用紙2枚分書いてくるように言われて、一気に難易度が高くなるんですね。原稿用紙の書き方も含めて親が教えなければいけないので、「読んでどう思ったの?」と聞きながら、口述筆記のように子どもに感想文を書かせるわけです。
入学してたった数ヶ月で、本を一冊読み切るのさえ大変なお子さんもいるのに、学校は「そこを親子で乗り越えるのも夏休みの勉強ですよ」という考え方なのです。
やっと勉強する習慣が身についてきたかな?というところで、いきなり1ヶ月半も自宅学習させられて、さらに難しい宿題を強いられたら、子どもも戸惑いますよね。それが終わると、9月からは漢字の学習が始まるなど、やることがどんどん増えていきます。
そういう状況を考えると、「学校の勉強についていけない」と子どもが自信をなくしたり、苦手意識を持ったりしないように、親ができるだけサポートしてあげたほうがいいと思います。
――先取り学習も、やらないよりはやったほうがいいということですね。
松田 そうですね。弊社でお世話になっている百ます計算で有名な陰山英男先生も、ある程度、先に理解できている教科は、余裕を持って能動的に授業を受けられるとおっしゃっています。
私の子どもたちにも、1年分が学べる陰山先生監修の「おうちゼミ」で先取り学習を実践したところ、勉強に対する自信がついただけでなく、体育や音楽などの実技教科も頑張るようになりました。クラブ活動など勉強以外のことにも積極的に取り組んでいて、学校生活全般にいい影響を及ぼしているように感じています。
――先取り学習には、「おうちゼミ」以外にどんな学習教材がおすすめでしょうか。
松田 実は、男女で少し違いがあるんです。女の子は形から入るのが好きなので、メゾピアノさんとコラボした「メゾピアノ ドリルコレクション」シリーズなどは人気がありますね。
中に出てくるイラストの女の子が、実際のメゾピアノのお洋服を着ていたり、デザインにもメゾピアノの柄を16種類も使っていたりします。女の子が好きなキラキラ華やかな世界は、ドリルを開いただけで楽しい気分になってやる気がアップすると思います。
5、6年生の女の子向け参考書は、女子小中学生人気ブランドの「レピピアルマリオ」とコラボしたものも出しています。
こういったコラボ教材は相場より少し高めの価格なのですが、「今までドリルは続かなかったのに、これは自分から進んでやるようになりました」とか、「おでかけにも持ち歩いています」といった親御さんからの声もいただいて好評です。
一方、男の子は見た目よりもゲーム性があるものや謎解きもの、攻略系のものが好きですね。
たとえば、クイズや謎解き感覚でドキドキしながら読めるお話をテーマごとに収録した「おはなしドリル」や「おはなし推理ドリル」シリーズは、低学年から高学年の男の子に人気です。
最近、特に売れているのは「危険生物のおはなし 低学年」で、男の子はエンターテインメント性があるものや、テーマに興味があるものにはハマりやすいようです。
――男女問わず、その教材に興味を持つかどうかがポイントなんですね。「知りたい、学びたい」という本人のやる気があれば、読解力も高まりそうです。
松田 「おはなしドリル」シリーズは、ひととおり解いた後で子どもに音読させている親御さんも結構いらっしゃるようです。
音読をして引っかかった言葉は理解できていないことが多いので、その意味を理解して語彙が増えていけば、読解力も高まりますよね。
子どもが音読を恥ずかしがって嫌がる場合は、「じゃあ丸がついているところまで、一文ずつ順番に読もうか?」と手伝ってあげたり、一緒に読んであげたり、親も楽しみながらサポートしてあげるとよいと思います。
「読み聞かせは子どもが小さいときだけでいい」と思われている方も多いのですが、小学生になっても中学生になっても続けるといいそうです。それが親子の会話につながったり、そこからまた新たな本に興味を持つきっかけになったりしますから。
私がたまに子どもにやるのは、わざと間違って読んでみることです。そうすると、「え、ママ、そこ間違ってるよ!」と指摘されたりして、ちゃんと聞いているかどうか、内容が理解できているかどうか確認できるのでおすすめですよ。
――親の読書習慣も子どもに影響を与えるようですね。私のまわりでも、書店や図書館に行く習慣がある親の子どもは本好きの子が多いと感じます。
松田 それはありますね。子どもに本を読みなさいといいながら、親がスマホばかりしていたら説得力がないですから。
反対に、親が普段から新聞なり本なりを読んでいて、書店や図書館に行く習慣があれば、自然と子どもも読むことに興味を持つと思います。
あとは、子どもが興味を持ったことを見逃さないことです。子どもが何かに興味を持ったら、関連する本をさっと買って与えたり、関連施設に連れて行ってあげたりするといいですよね。
子どもが「これなに?」「なんでこうなってるの?」と質問してきたらチャンス。「ちょっと調べてみようか」と少し時間をとって一緒に図鑑を見てみたり、インターネットで調べて教えてあげたりすると、子どもの知的好奇心の芽を摘まずに育てられると思います。
私の場合、会社勤めをしながら子どもの勉強をつきっきりでみるのは難しいとわかっていたので、息子たちには自分から興味あることを調べたり、学んだりできる子になってほしいという思いもありました。
それで2、3歳ぐらいから一緒に図鑑を見たり描き写したりしていたら、自然と図鑑だけでなく本も大好きになり、自分から読むようになりましたね。
図鑑好きは男の子が多いですが、弊社がつくったかわいい動物だけを集めた図鑑『もふもふ動物 学研の図鑑LIVEforガールズ』は女の子に人気です。
――読み書きの力や読解力はすべての勉強の基礎となるので、「国語は苦手」になってほしくないですね。そのために親が心がけるべきことはありますか。
松田 自分の子どもの勉強を見ていると、できないことばかり目につきがちです。でもそこは決してダメ出しせずにぐっとこらえて、少しでもできたところや頑張ったところを褒めてあげたほうがいいと思います。
子どもは子どもなりに頑張っているので、頭ごなしに間違いを指摘されたり否定されたりすると、「どうせ自分は、できないんだ。勉強なんて大嫌いだ!」と思い込んで、ますますやる気を失ってしまいます。
子どもは基本的に新しいことを知るのは好きで楽しくて、好奇心でいっぱいなのです。しかし残念なことに、成績で評価される学校の勉強に対してはそうじゃなくなっていくケースが大半ですよね。
ですから家庭では、知らないことを学ぶのは楽しいと思っている一年生の状態をいかにキープさせるかが肝心です。
6、7歳頃は、「僕(私)って、頭いいかも!?」と根拠のない自信を持ちやすい時期なので(笑)、親がその可能性の芽を摘まないようにしてほしいですね。
子どもを勉強嫌いにしているのは、実は親だったということにならないように、間違っても「なんでこんなこともできないの?」とか「字が下手だね」などと、子どもの自信を奪う言葉を口にしないように気をつけてください。
もし今やっている勉強が難しくてできない場合は、自分で解ける簡単なレベルまで戻って、「できた!」と自信を取り戻せるところから再スタートするといいですよ。
勉強ができる子に対しても、「早く終わったんだからもっとできるでしょう」などと言って過剰にやらせると、子どもは「頑張るともっと勉強させられるんだ」と思って、わざと手を抜くようになります。
早くできたらしっかり褒めて、「あとは遊んでいいよ」と楽しませてあげてください。頑張れば楽しいことが待っているとわかれば、自分からもっと勉強するようになるでしょう。
――今後、大学入試では記述力が重視されるようになります。小学生のうちからできる記述の学習法があればぜひご紹介ください。
松田 日記を書くといいですよ。私の息子たちも年長の頃から日記を書いていたら、今では会話するように文章が書けるようになりました。小さいうちは絵日記でもいいですし、「今日は公園に行きました。おにごっこをして楽しかったです」というように、一文、二文でもいいんです。
文章が短くても、文字が下手でも、ダメ出しは絶対に禁物です。とにかくなるべく早い段階で、毎日必ず何か“書く”ことを習慣にすると、国語はもちろん他の教科でもとても役立ちますから、子どもに日記は自信をもっておすすめしたいですね。
取材・文=樺山美夏