リベラルアーツを学んでビジネスで差をつけろ! 戦略的独学のすすめ
公開日:2018/3/15
「働き方改革」が叫ばれる今日この頃。もちろん制度面の改革も重要なことなのだが、それだけでは変えられないような根本的な「日本人」独特の問題もあるようだ。例えば、「新しいものを生み出すのが苦手な若者」「仕事以外の会話や付き合いを楽しめないビジネスパーソン」などが多いことは、近年特に問題視されている。
これからの日本で生きる私たちは、日本の国家や企業が根本的な改革を行えない理由を、法制度のみならず、日本人の「学び方」にスポットを当てて考えてみることも重要なのではなかろうか。
本日紹介したい書籍は『リベラルアーツの学び方(エッセンシャル版)』(瀬木比呂志/ディスカヴァー・トゥエンティワン)という一冊である。
■「リベラルアーツ」と「教養」の違い、説明できますか?
まず「リベラルアーツ」という概念を皆様はご存じだろうか。「リベラルアーツ」の起源は、ギリシア・ローマ時代にまでさかのぼり、当時は、自由人(奴隷を所有することが許されている人、つまり、奴隷ではない人)が学ぶ必要のあった自由七科、具体的には文法学、修辞学、論理学、算術、幾何学、天文学、音楽を意味するものである。現在の大学でいえば教養課程に属するような科目だ。
近年注目されている意味での「リベラルアーツ」は、大学における基本科目というよりも、そのもともとの意味、すなわち、「人の精神を自由にする幅広い基礎的学問・教養」という趣旨に近く、とりわけ、それぞれの学問に横断的な共通性、つながりを重視する含みをもって用いられる言葉だと著者は説く。
そのような意味における「リベラルアーツ」は、自然・社会・人文科学のみならず、広義での思想、批評、ノンフィクション、そして各種の芸術も含むのだが、このような学問は日本の大学の基礎教育ではなかなかしっかりと学ぶことができず、独学が必要とされるのが現状なのだという。
■「リベラルアーツ」を通じて身体に入ってくるものとは?
そんな我々がこれから「リベラルアーツ」を学ぶための手引きとなるのが本書である。本書は、自然科学、社会・人文科学、思想、批評、ノンフィクション、文学、映画、音楽、漫画、広い意味での美術という幅広い対象をボーダレスに取り上げ、リベラルアーツとしての共通性を軸に、個々の分野の発想や方法、その焦点を、実例を挙げながら紹介・解説している。
本書は3部構成で、第1部ではリベラルアーツを学ぶことの意味と効用、第2部ではリベラルアーツを身につけるための効果的なスキルや手段・方法、第3部ではリベラルアーツを学ぶという観点をいかした書物の読み方や芸術への接し方、そして最後に著者が推す書物のリストが収められている。
特に第3部での解説は、ロック音楽やアメリカンニューシネマにまで及び、芸術を通じて触れたものは、頭や知識だけでなく、皮膚や身体の感覚、あるいは文章の組み立て方やリズムにまで染みつくようなものだと改めて考えさせられる。
本書を通じて広い「リベラルアーツ」の学び方を体得すれば、例えば旅先で美術館に立ち寄ったり、仕事帰りにCDショップで視聴したりするような、些細な日常の体験から得るものも、以前に増して大きくなってくることだろう。それは必ず、あなたのビジネスや日常生活の質を格段に向上させる教養になるはずだ。
文=K(稲)