「鈴木裕斗」声優インタビュー&ミニグラビア【声優図鑑】
公開日:2018/3/27
編集部が注目する声優に、仕事に向き合う気持ちからプライベートまでをじっくり伺い、撮り下ろしのミニグラビアを交えて紹介する人気企画「声優図鑑」。
第182回となる今回は、「刀剣乱舞」の骨喰藤四郎役、「MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang」の野村アール役などを演じる鈴木裕斗さんです。
――撮影はどうでしたか?
鈴木:撮影をした新宿近辺は仕事とか、ご飯で来ることも多い場所だったので、ナチュラルな感じで撮ってもらうことができました。服も頑張って選びました。いつもはなかなか選ばないような色なんですよ。普段はモノトーンを着ることが多いし、色を入れたとしてもブルーなどが多いので。
――洋服を選ぶのは好きなほう?
鈴木:最近楽しいですね。今までは体のラインがしっかり見えるような細身の服が好きだったんですけど、最近はダボッとした服とか、いろんなタイプの服を着たいなと思うようになって。楽しめるようになってきました。
――声優としてデビューしてから、今年の4月で丸10年。デビュー当時を振り返ることはありますか?
鈴木:すごくあります。周りの方々に恵まれて、養成所に通っている間にアニメ作品の出演が決まって…。それまで、自分が進む道は声優以外にないと信じて、自信はなかったけど芝居が好きっていう気持ちだけで突き進んできたので、デビューした時の気持ちは今でも忘れられないし、その時のことはものすごく鮮明に覚えていますね。
――デビュー作は「ペンギン娘♥はぁと」という、ニコニコ動画で配信された作品ですね。
鈴木:男の子だけど女の子の格好をしているっていう中性的なキャラクターでした。養成所でも、中性的な声を演じるっていうイメージがついていたので、それも起用の理由かなと思います。でも、いざアフレコにのぞんだら、うまく演じたい気持ちに反して技術が追いつかなくて…ジレンマがあったのを覚えています。
――この10年で成長できたという手応えは?
鈴木:最近ようやく…ですね。「タイム・アフター・タイム ~H・G・ウェルズの冒険」という海外ドラマの吹き替えで、初めて主役を演じさせていただいたんですが、自分が先頭に立ってどう現場を引っ張っていけばいいのか、冷静に分析しつつ、意識できるようになったことは、手応えと言えるのかなと思います。
――どんなことを意識したんでしょうか?
鈴木:いろんな考え方があると思うんですけど、僕の場合はコミュニケーションを大事にしていました。和気あいあいとしながらも、収録では集中できるように。まだまだ余裕がない中で、いろんなことに気を配ったつもりです。
――アニメ、吹き替え、舞台などたくさんのジャンルで活躍されていますが、思い出に残っている作品は?
鈴木:「MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang」は、長くつきあってきている作品で、やっぱり思い入れがあります。たくさんの人に自分の存在を知ってもらったし、歌や踊りなど初めての経験もたくさんさせていただきました。同世代のキャストとも共演して、共感できることもできないことも、いい意味でぶつかりあえた作品ですね。
――「刀剣乱舞」の骨喰藤四郎役も、鈴木さんの代表作の1つといえそうです。
鈴木:今まで演じたことがなかったタイプの役で、僕の声だと気づかなかったって言われることも多かったです。気持ちをあまり表に出さない役なので、短いフレーズの中で藤四郎の信念をどう見せていけるのか、すごく考えました。どんどん人気が高まっていく作品で、代表作といっていただけるのはすごくうれしいです。
――最近ファンになった人にも観てほしい、という作品は?
鈴木:「トライアングル」という韓流ドラマのユン・ヤンハ役は、「顔が似てる」っていう理由で起用していただいて、年齢が近い役者さんが多くて感情移入しやすかったこともあって、思い入れがありますね。複雑な人間関係などを2クールで描いていて、面白い作品だと思います!
――これまでの経歴で、アニメと吹き替えのどちらも多いのが鈴木さんの特徴ですね。
鈴木:そうなんです。アニメに出演できなかった頃から、海外ドラマに出演させていただくことが多くて。「MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang」や「刀剣乱舞」で知っていただいた方は、あまり知らないかもしれませんが。声優を目指していた頃から吹き替えに興味があって、吹き替えで経験を積む中で、アニメにも生かせる技術が身についてきたと思っています。これからも、どちらも続けていきたいです。
――どんな役を演じることが多かったですか?
鈴木:ヒールの役が多いんですが、その中でも大人っぽくて中性的な役を演じさせていただく機会が増えていて、そこは自分の強みだなと思っていますし、誇りに思っています。
――歌を披露するような作品も多いですが、声だけのお芝居と違う楽しさもありますか?
鈴木:最初は苦手意識しかなかったですね。歌は好きでしたけど、踊りの経験はなかったですし。楽しめるようになったのは本当にここ最近で、純粋に楽しいと思えたのが、今年1月の「Rejet Fes.」のステージ。今まで、芝居以上に難しさを感じて、どう表現したらいいのかを長い時間をかけて考えてきて、それはいまだに見つけられないんですけど。この前のステージでは、とにかく役になりきって、曲の世界観に没入することができました。ファンのみなさんからも「かっこよかった」という一言をいただいて…。一歩ラインを越えられたと感じました。
――芝居以上に長い時間をかけて努力されてきたんですね。
鈴木:レコーディングやステージの前にカラオケで練習したりするんですけど、歌うたびに課題が見つかるんですよ。どの曲も、最初は楽しんで歌えるんですけど、練習すればするほどわからなくなったりとか…。自信のなさや不安による感情の揺れが、歌に現れてしまっていた時もあったと思います。キャラクターに対する表現は自分で作っていかないといけない部分が多いんですけど、ファンの方を納得させられるような表現を大事にしています。
――お仕事の合間の息抜きはどんなことを?
鈴木:お酒の場は、息抜きの1つですね。お酒そのものより、誰かと飲むことが好きなので、同世代の仲間を自分から誘って、くだらないことを話すのが楽しいですね。
――飲み仲間の中で、おつきあいが長いのは?
鈴木:伊藤健太郎さんにはお世話になっています。じつは、初めて先輩と衝突した相手でもあるんですが…そこから仲良くなって。主宰されている劇団の舞台もほぼ毎回観に行かせていただいて、その時は朝5時まで飲んだりします。
――プライベートで最近始めたことは?
鈴木:少し前に始めて、続けないといけないな…と思っているのは、英語の勉強。お酒の場で知り合った海外の友だちがいて、いつもスマホなんかで言葉を変換しながらコミュニケーションを取ってるんですけど、生の言葉で話してみたいっていうのがあって。
――では、お仕事でこれから挑戦したいことを教えてください。
鈴木:毎年の課題ですが、テレビアニメの主人公を演じること。やっぱりこういうお仕事をしているからには、ど真ん中で熱い役を演じてみたいという想いがあります。簡単なことではないと思いますけど、夢の1つとして捨てきれないし、そういう目標を持ち続けていたい、とも思いますね。
――最後に、読者へのメッセージを。
鈴木:今日は、丸10年を迎えるタイミングでいろんなお話をして、自分を振り返ることができましたし、これからの目標を口にすることで、ますます闘志が燃えてきました! 応援してくださる方にも、僕が今考えていることを受け止めてもらえたらと思います。これから、僕にしか歩めない道を進んでいきたいと思います。素敵な写真も撮っていただいてので、目でも楽しんでいただけたらうれしいです!
――ありがとうございました!
次回の「声優図鑑」をお楽しみに!
鈴木裕斗
◆撮影協力
BC WORLD STUDIO
取材・文=吉田有希、撮影=山本哲也、制作・キャスティング=吉村尚紀「オブジェクト」