『トイ・ストーリー3』の着想は、なんとロード・オブ・ザ・リング!? 捨てられたおもちゃたちの行方【ターニャの映画愛でロードSHOW!!】

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公開日:2018/3/26

© Disney/ Pixar

■出会いと別れ、寂しさを知る大人こそ深く感動できる物語……

 こんにちはー、金曜ロードSHOW!プロデューサーのターニャです☆

 東京では平年よりも早い桜の開花となり、各地からも桜の便りが届いています。季節は春です。春といえば、別れと出会いの季節です。

 新しい生活に向けて引っ越す方、この時期の引っ越しに思い出がある方も多いと思います。新生活が始まるときに、必ず行うことと言えば……そう、断捨離。幼いころには、親に「そんなものもういらないでしょ!」なんて言われたことがある人もいらっしゃるのではないでしょうか?

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 3月23日に放送された『トイ・ストーリー3』(日本テレビ系)が描くのは、そんな捨てられるかもしれない、おもちゃたちのストーリー。「大切なものを捨てる」という経験は老若男女誰でもしていますよね。でも、子どもたちよりも、人生の中でその回数を重ねてきた大人のほうが、寂しくも懐かしい「あのときの気持ち」を思い出して、心が動かされると思います。

© Disney/ Pixar

 大好きだったおもちゃ、一緒に遊び、成長し、大きくなって、気が付けば部屋の片隅においやられてしまったかつての友だち。彼らがどんな想いをしていたのか、子どものころ一度は考えたであろうストーリーが、今回の作品です。

■舞台設定と物語、誰もが一度はしたことのある想像の世界……

「トイ・ストーリー」シリーズの物語は、おもちゃたちが人間の見ていないところで意思を持って動いている世界が舞台。ご主人様たちが見ていないところでは、おもちゃ同士が会話をし、それぞれの関係性をもった世界で「暮らして」います。当然、おもちゃですから、動いているところを見られてはいけないので、ご主人様や家族がおもちゃ箱に来る気配を感じた時は、完璧に元の位置に戻ります。

……子どものころ、誰もが一度は想像する「おもちゃが寝ているときに動いていたら、どうしよう」という、ちょっと怖くもあり、ドキドキしてしまう世界が「トイ・ストーリー」の基本設定です。おもちゃたちの「最高の幸せ」はご主人様である子どもたちと過ごす楽しい時間なのです。

© Disney/ Pixar

 まずその設定が巧みで面白いですよね。世界中で愛され、3作目が制作されるほどの超大ヒットになった一因がそこにあるんだと思います。

 今作では、シリーズの主人公であるカウボーイ人形のウッディたちのご主人様・アンディが大学に進学することになり、家を出ていく準備をしている、という設定です。

 さすがに大学生にもなればおもちゃ遊びにも飽き、思い出とともに屋根裏にしまっておくことを決めたのですが……ちょっとした手違いで保育園に寄付されてしまい、捨てられたと勘違いしたおもちゃたちの大冒険が始まります。大好きなアンディのところに戻るため──。

■1作目より面白い3作目、映画史的にも珍しい快挙

『トイ・ストーリー3』と聞いて、1と2を観ていないから……と観る気をなくしてしまう方もいるかと思います。また、シリーズもので、オリジナルの1よりも3が面白いことはないから、あまり見る気がしない……と心配されるかもしれません。でも大丈夫! シリーズでも、本作が最高傑作との呼び声高い、傑作なのです!

 本作の監督は大ヒット公開中のディズニー/ピクサー最新作「リメンバー・ミー」でもメガホンをとったリー・アンクリッチ監督。シリーズ作品で前作を超える難しさについて次のように語っています。

「映画史全体を見ても、1作目を超えた続編というのはごくわずかですし、3作目となると1作も思い浮かびません。

 唯一、『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』が思い浮かびましたが、あれは一つの大きなストーリーの第三部という位置づけです。

 そこで、私は『トイ・ストーリー』も全三作を通して大きな一つのストーリーととらえるべきではないかと思いました」

 監督のこの考えをもとに、おもちゃたちのご主人様であるアンディが成長して大人になるというアイデアや、ウッディたちが保育園に行ってしまう、という発想などが生まれたのだとか。

 その結果、世界の誰もが心を揺さぶられる感動作となったのです。まさにシリーズ最高傑作にして、全ディズニー/ピクサー映画の中でも屈指の名作と呼ばれる『トイ・ストーリー3』は、シリーズ3作目が1作目より面白い、という「快挙」を達成し、映画史に深くその名を刻んだのでした。

■子ども時代の思い出を振り返りながら……

 寂しくも楽しみなこの出会いと別れの季節にピッタリな『トイ・ストーリー3』。人生の一時期を共有した仲間であるおもちゃとの別れ……それは、誰もが大人になる過程で通る道です。『トイ・ストーリー3』が描くのは、まさにそんなストーリーです。

 そう、これは普遍的な物語。だから、子どもより大人こそがより深い感動に包まれる作品なのです。そして、今この季節にぴったりだとわたくしターニャは思っています。この感動を、いまこそ。ぜひ。

 それではみなさま、心に残る忘れられない映画体験を☆

© Disney/ Pixar

文=citrus 日テレ『金曜ロードSHOW!』プロデューサー ターニャ