中学受験の現実をえぐりだす衝撃作…その男は受験の神か、拝金主義者か?
公開日:2018/3/31
受験をテーマにしたマンガは他にもあるが、その多くは熱血モノであり、自身の夢に向かって努力する登場人物の姿に感動すらするような作品だった。
しかし、本作は全く違う。その特徴は塾の側から見た物語、ということだ。
年々拡大し、熾烈になる中学受験だが、塾業界にとっては夢や涙を語る前に、これは「ビジネス」なのだという現実を突きつける本作に、背中がゾクっとさせられる。
ここに心や人情は不要といわんばかりの黒木の言動には違和感を覚えつつも、否定する言葉が見つからない。
かつて中学受験を経験した人・してない人、これから挑もうとする子供たちとその親。
立場によって本作の受け止め方は色々と思う。
ここで描かれる現実と、この試練を乗り越えた、あるいは乗り越えられなかった子供たちの未来に思いを巡らさずにはいられない。
『二月の勝者 ―絶対合格の教室―』
レーベル:ビッグコミックス
出版社:小学館
著者:高瀬志帆
(C)高瀬志帆/小学館