人生でやりたいことから逆算してキャリア設計を! デキる人は始めている目標達成術
公開日:2018/4/3
この春に進学、進級、就職と、新生活を始めたフレッシャーズも多いことだろう。そんなあなたにまずおすすめしたいことの一つが、“キャリア設計”だ。キャリアを設計することは“自分の目標やゴールへの最短距離を戦略的に考えて実行すること”である。本書『未来をつくるキャリアの授業』(渡辺秀和/日本経済新聞出版社)は、東京大学でキャリア設計を教える授業の教科書にもなっている。
東大で始まったキャリアに関する授業とは「キャリア・マーケットデザイン-Design Your Future, Design Our Future」。授業では“キャリアビジョンを見つける方法”“キャリア戦略の設計法”“入社一年目にロケットスタートする方法”などを教えている。著者の渡辺秀和氏はキャリアコンサルタントとして活躍する一人。特別な資格や人脈もなく、まだ実績もない謂わば普通の人たちを、数々の難関企業に転職・就職させ、目標を達成させてきた。
■キャリア設計のスタートが早いほどいい理由とは?
「これから就職、あるいはまだ就職したばかりなのに、もう転職の話?」そう思う方もいるかもしれないが、本書で言うキャリア設計とは、単に年収アップや有名企業を狙って転職することではない。冒頭でも書いたが“自分の目標やゴールへの最短距離を戦略的に考え、実行する”ことだ。
段階別にいうと、まずキャリアビジョン、自分の夢を決めて、それを実現するために転職をツールとして捉える。次にそのゴール(目標)から段階的に逆算をして転職キャリアを描いていく。この一連の流れがキャリア設計である。
だが日本では、キャリアを積むことに関する教育は少ない。最高学府である東大も昨年からこの授業を始めたばかりである。終身雇用や安定した給与というものはもはや過去の話となっており、転職することが当たり前の時代であるにもかかわらず、だ。どんな一流企業に入社するとしても、それがゴールではない。自分自身のキャリア設計をきちんとしておくべきなのだ。
そしてそのキャリア設計を始めることは早ければ早いだけいいと本書は述べている。だからこそ、将来について考え始めた、あるいは社会人として歩み始めたばかりの人たちに本書を手に取って、自分自身の夢に到達するまでの技術や思考法を学んでほしいのだ。
■希望の人生を「キャリア設計」で手に入れよう!
本書で説明するキャリア設計の具体的なステップには、次の3つの過程が示されている。
(1)目指すゴールとしてのキャリアビジョンを設定する
自分がどうなりたいか、どんな人生を得たいのか、ゴールをしっかり決め、キャリアビジョンを見つける。(2)現状からキャリアビジョンまでのルートを考える
実現可能性が高くキャリアビジョンに至る転職の最短ルートがどれかを考えて、戦略的に行動する。(3)ルートを歩むために就職活動や転職を成功させる
キャリアの勝負所となる転職活動を乗り越えるためのスキル、転職リテラシーを身に着ける。
そしてこの3ステップを実際に進めていくうえでのノウハウについても、具体的に説明されている。たとえばキャリア設計で陥りがちなワナについて。難関資格は実は不要であるとも述べられている。資格取得のためにやみくもに努力する前に、得られるメリットとそこにかける時間や労力が釣り合っているのか冷静に見極めなければならないそうだ。
他にも、満遍なくあらゆる分野で80点以上を目指してそつのないキャリアをつくっても、苦労の割にあまり評価されないこと。会社名のブランドだけで就職先や転職先を決めないこと。市況をみて転職時期を考えること。など、転職者の実例とともにその理由が語られている。
■キャリア設計を考えてほしいのはこんな人――
さて、あなたは自分のキャリアビジョンや人生の目標についてきちんと考えたことはあるだろうか? もし今、膨大な時間とエネルギーを使って行っていることが、未来の自分にとって役に立たないのでは? と疑念を抱えているようならば、すぐにでも本書を読んで、自分の目標やゴールへの最短距離について考え、実行に移してみてほしい。あなたの時間は有限なのだ。若いうちから未来をしっかり考えることが必要だ。
また本書は、部下や後輩をもつ管理職に就く人にもぜひ読んでもらいたい。そして部下たちのキャリア設計について一緒に考えてみてほしい。これらは彼らに寄り添い理解を深める第一歩になるだろう。マネジメントスキルにとっても必ず役に立つはずだ。
文=古林恭