「うちの子、勉強についていけるかしら…?」新入学時期、お悩みのパパ・ママへアドバイス
公開日:2018/4/2
入学シーズンを迎え、期待と不安で胸いっぱいの子どもたちの新生活がはじまる。親も我が子の成長に大きな喜びを感じながら、内心では「うちの子、大丈夫かな。勉強についていけるかしら? 友だちできるかしら?」と心配事は尽きない。特に新小学1年生は、国語、算数の授業がスタートする大事な時期。そして中学年になると社会や理科もはじまる…。
さらに2020年度から小学校高学年で英語も成績の付く教科になり、中学年でも成績は付かないが必修科目となる。大学入試改革もはじまるこの転換期に、我が子が勉強を好きになってくれることを願わない親はいないだろう。
ではどうすれば、子どもが勉強に興味を持つのだろうか? 家庭でどんな学習教材を与えれば、自ら学ぶ子どもに育つのだろう?
そこで各教科で、子ども目線に立った人気学習教材、図鑑、漫画を作っている達人たちに、子どもを勉強好きにさせるヒントを伺った。
【一時間目】国語
新一年生はそのレベルからスタートして、6、7月ぐらいになると主語と述語を使った「ねこが なく。」「いぬが はしる。」といったような二語文をつくる授業に進みます。ところが、夏休みの宿題でいきなり読書感想文を原稿用紙2枚分書いてくるように言われて、一気に難易度が高くなるんですね。やっと勉強する習慣が身についてきたかな?というところで、いきなり1ヶ月半も自宅学習させられて、さらに難しい宿題を強いられたら、子どもも戸惑いますよね。それが終わると、9月からは漢字の学習が始まるなど、やることがどんどん増えていきます。そういう状況を考えると、「学校の勉強についていけない」と子どもが自信をなくしたり、苦手意識を持ったりしないように、親ができるだけサポートしてあげたほうがいいと思います。
学習教材を選ぶポイントは、実は男女で少し違いがあるんです。女の子は見た目、男の子はエンタメ性がカギです。また、「読み聞かせは子どもが小さいときだけでいい」と思われている方も多いのですが、小学生になっても中学生になっても続けるといいそうです。それが親子の会話につながったり、そこからまた新たな本に興味を持つきっかけになったりしますから。私がたまに子どもにやるのは、わざと間違って読んでみることです。そうすると、「え、ママ、そこ間違ってるよ!」と指摘されたりして、ちゃんと聞いているかどうか、内容が理解できているかどうか確認できるのでおすすめですよ。
【二時間目】算数
数字って抽象概念ですよね。目の前にないものの学習ですから、抽象概念をいきなり理解するのは子どもには難しいと思います。子どもが知っている具体的なものと結びつけてあげないと意味がわからないので、算数の学習は、りんごやいちごといった目に見える具体物を指でひとつひとつ数えていくところからはじまるわけです。いきなり1+1=2と言われてもわからないことが、経験と結びつくことで学びにつながっていくんですね。『小学一年生』にも「まいにちドリル」というのがあって、こういうページを遊びの延長でやってできれば、子どもに自信が芽生えるきっかけになります。
6歳という年齢は、世界的に見ても学習をはじめる適齢期で、自分からどんどん知識を吸収するようになる、知恵の爆発期みたいなもの。ついついいろんなものを与えたくなる親御さんもいると思いますが、まずは健康的な生活習慣を身につけさせて、子どもの好奇心や興味関心の赴くままにいろんな体験をさせてあげるのが一番だと思います。最近すごく感じるのは、特にお母さんが正解を求めたがっていることですね。「何歳でこれをやっておけば大丈夫」と誰かに言ってもらいたい。真面目で責任感が強い親が増えているのかもしれません。でも残念ながら、子育てに正解はありません。ただひとつはっきり言えるのは、繰り返しになりますけど、できるだけいろんなものに出会い体験する機会を与えてあげたほうがいいということです。子どもが何に興味関心を持つかは、その対象に出会うきっかけがないとわかりませんからね。
【三時間目】英語
子どもに英語を学ばせるときは、いかに苦手意識を与えることなく自然に触れさせるかが大事だと思うんですね。意味はわからなくても、毎日、英語に触れる環境づくりをして耳を慣らすことが大事だと思います。みなさんご家庭で、お子さんに絵本を読み聞かせたりしますよね。そうした日本語のおはなしを楽しませるのと同じような感覚で、英語の絵本や音声素材も、日常の中で自然に触れるものとしてとらえたほうがいいんですよ。
今まで小学校では、英語は正式教科ではなく成績がつくものではなかったので、やらないといけない義務感がなく後回しになっていたご家庭が多いと思います。でも2020年から高学年で教科学習になって、中学受験でも英語力が試されるとなれば、まったくやらないわけにはいかなくなります。そのときに、どれだけ子どもに苦手意識を与えることなく英語を学ばせるかが、すごく重要なんです。「単語や文法を一生懸命覚えなくちゃ!」と思うと苦手意識が強くなりますけど、細かいところがわからなくても、「英語の本が1冊読めた!」という経験があれば英語に対して前向きになれますよね。そこから、わからなかった単語や文章を調べていくと、「あれはこういう意味だったのか!」とより理解が深まって、ただ暗記するよりも記憶の定着が断然効率的です。
【四時間目】歴史
子どもって、自分が好きなものはすごい勢いで覚えるじゃないですか。好きに対する子どもの好奇心や集中力は、大人でも敵わないほど強いですし、いったん面白いと思ったら、放っておいても繰り返し読んでくれます。歴史好きになるきっかけは何でもいいと思うんですね。学習まんがで通史を読んでいるうちに特定の人物に興味を持つこともあるでしょうし、テレビやアニメで知った歴史上の人物から入ることもあるでしょう。大事なのは自分から好きになるということですから。
そんな子どもの好奇心と興味を惹きつけるために、「角川まんが学習シリーズ」で工夫している点がいくつかあります。まず一つ目は、それぞれの巻に登場する歴史上の人物やその時代に暮らしている架空の家族の人物相関図を巻頭に入れています。二つ目は、その巻の時代背景や簡単な流れなど、特徴が一目でわかるカラーのイラストページ「絵で見る歴史ナビ」も入れていることです。その巻頭の数ページを読むことで、「ああ、こんな時代なんだな。こういう人たちが生きていて、こういうことがあったんだな」というざっくりしたポイントをまずつかんでもらうんです。
【五時間目】理科
小学生は好奇心の塊なので、その延長で勉強ができれば成績をあげるのは難しくないと僕は思っています。ポイントは、興味を持つか持たないか、自主的にやるかやらないか、なんだと思います。たとえば、昆虫好きな子は、昆虫をつかまえるために気象のことも知らないといけないし、その虫が生息する場所の植物にも興味を持つようになります。生き物としての進化に対しても興味が出てきますから、結果的に、さまざまな知識が身につきます。一見、学校の勉強と関係なさそうなことでも、興味が連鎖していくと、いずれ結びついてくるんです。何をきっかけに学びが広がっていくかわからないので、どうせテストに出ないからと親が決めつけて、子どもの興味対象を制限はしないほうがいいのではないでしょうか。
理科はとりわけ、好奇心の強い子どもが伸びる科目だと思います。どんな子でも、「なんでかな?」を3回ぐらい繰り返して調べていくと、物事の本質を理解できるようになりますからね。たとえば、進化論でもips細胞でも、小学校で習わないようなことに興味を持って図鑑や本で知識を身につけている子どもは、学校のテストで100点をとったりするんですよ。そういう子のほうが、算数も国語もできたりしますから。