100万部突破の仕事の文書作成技術とは? 文科系も理科系も必携の1冊
更新日:2018/4/16
この春、新生活を始めた皆さんの中には、新卒で就職した方も多いだろう。突然だが、フレッシャーズの皆さんは“仕事で伝わる文章”をうまく書ける自信があるだろうか?
もし仕事用の文書がきちんと作成できるか心配であるならば、ぜひこの本を読んでみてほしい。ロングセラーであり100万部突破のベストセラーである書籍を元にした『まんがでわかる 理科系の作文技術』(木下是雄:原作、久間月慧太郎:作画/中央公論新社)だ。
“理科系”と銘打ってあるものの、文科系の文書作成にもそのまま役に立つ内容だ。仕事用の文書をうまく書きたい人はもちろん、文章に自信がある人、そもそも文章が得意ではない人にもおすすめの1冊だ。
■100万部を突破した理科系・文科系問わずの作文方法
オリジナル版『理科系の作文技術』は、物理学者の著者が、理科系の研究者・技術者・学生のために、論文・レポートなどのコツを具体的にコーチしたものだ。
ここでの理科系の作文技術とは、“理科系の専門文書”をどう書くか、ではなく、明快・簡潔な表現を追求する書き方のことだ。文のうまさに主眼を置いた従来の文章読本とは異なり、文科系の読者にも「本当に役に立った」と絶賛された。1981年に刊行されてからロングセラーとなり、改稿を重ねて数年前ついに100万部を突破した。
■仕事用の作文技術として使える理科系の作文技術
本書はオリジナル版のポイントをストーリーにのせて再構成している。主人公、新田文は小説を書くのも読むのも好きなフレッシャーズだ。彼女は自信があった作文技術が、仕事の文書作成の技術とは異なるものだと知る。上司である梶山の厳しい指導のもと、理科系の作文技術を学び“仕事で使える”“相手に伝わる”文章スキルを身につけていく…。
本書は理科系の仕事の文章の書き方に主眼がおかれて描かれている。そして、その理科系の仕事の文書は下記のように定義されている。
「読者に伝えるべき内容が事実と意見に限られていて、心情的要素を含まないもの」
この定義は理科系というジャンルを超えた、仕事の文書としては普遍的なものだ。つまり本書は理科系、文科系問わない、仕事の文書の書き方指南書ということである。作文技術のトピックをいくつか書き出してみる。
・著者の感想を混入しない
・1文書に1つの主題
・書きだし(リード)で文書の最も重要なポイントが分かるようにする
・ぼかし言葉ではない明確な日本語で言い切る
トピックを読んだだけでこれらが文科系の(仕事の)文章の書き方といわれても違和感がないことがわかるだろう。もちろんこれだけではなく他にも数多く、仕事の文書の具体的な作成方法やノウハウを、物語に合わせて紹介している。さらに各章のまんがの後には詳細な解説ページがあり、最後に実際に例文を、仕事の文章へ書き換えるテスト的な“まとめLESSON”がくる構成になっている。
そしてラストでは講演の要領を説明している。理科系の研究発表をする人間でなくても、仕事ではプレゼンなどで多くの人の前で話をする機会もあるはずだ。講演の要領は、ビジネスパーソンなら誰でも身につけておいて損はない。
■仕事の文章は明快・簡潔な脱・日本語の文章を
本書で「はっきりした表現は日本語的でない。それが日本人の美徳とされている」というセリフがある。ただ、仕事の文書は、あいまいではなく確実に、その内容を相手に伝えねばならない。
それには明快・簡潔に“日本語的でない”文章を書くべきだ。仕事の文書で必須な脱・日本語の文章表現と技術を、本書を読めば身につけることができるだろう。
文=古林恭