プロゴルファーが大学院で自律神経の勉強をはじめたら優勝できた、その理由は?
公開日:2018/4/6
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■人はどうしたらゾーンに入れるのか?
スポーツの世界では「ゾーンに入る」という言葉がよく使われる。何も考えなくても体が勝手に動いて、やることなすことがすべてうまくいき、もちろん結果にもつながる。そんな状態を指す。身近な例でいえばランナーズハイ。仕事に熱中してあっという間に時間が過ぎてしまうときも、ゾーンに入っているかもしれない。
ゴルフの世界でもゾーンに入れるか否かは大きくものをいう。そう簡単に入れるものではないが、突出したスコアを出すプレーヤーは、ほぼ間違いなくゾーンに入っている。打てば寄る、寄せれば入るを繰り返し、気持ちよくラウンドをフィニッシュして優勝してしまう。ゾーンに入れる選手が一流といってもいい。
『プロゴルファーが順天堂大学院で学んだ「成功する人は頑張らない」』(主婦の友社)の筆者であるプロゴルファー・横田真一は、ここに興味を持った。ゾーンに入れれば間違いなく勝てる。そして一流になれる。「じゃあ、どうしたらゾーンに入れるのか?」ということで、それを探るべく順天堂大学大学院の門を叩いたのだ。
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■自律神経をコントロールできたら優勝できる
横田はユニークである。いや、変わり者といったほうがいいか。プロが勝ちたいと思ったらまずは練習。仲間に話を聞いたり、ともに練習をしたりする。もちろんそれがゼロではないが、それとは違う方法も試みたわけだ。順天堂大研究室の師・小林弘幸教授の「自律神経をコントロールできたら優勝できる」という言葉に加え、研究を始めた矢先に13年ぶりに優勝できたことが決定的な引き金になり、横田は研究の深みにはまる。そのキーワードは自律神経だった。
本書はここまで横田が行ってきた自律神経研究の一部始終を、具体的な例を交えて示している。「ゾーンに入れる人」→「勝てる人、成功する人」→「一流」という構図は何となく想像できるが、なぜそれができるかとなると首をひねらざるを得ない。筆者はゴルフというフィルターを通して、そこをわかりやすく伝えている。
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■一流はしゃかりきに頑張っていない
たとえば、2人で合計79勝している中嶋常幸、片山晋呉の両プロ(31勝)に、「優勝争いをしているときは、どうペース配分しているのですか?」と質問する。2人は口を揃えて、
「そりゃもう朝から、“どうどうどう”、どれだけおとなしくスタートできるかだよ」
と答え、さらに片山は、
「最終の18番ホールでいい球を打つことしか考えていません」
と話す。一流はしゃかりきに頑張ってはいなかったのである。
同じプロ同士、このあたりのことはなかなか口を割ってくれないものだが、そこが横田の変わったところ。この2人に限らず、ジャンボ尾崎、青木功といった一流プレーヤーたちに質問を浴びせたり、プロ同士だから知りうる彼らのエピソードを動員して自律神経の使い方、ひいては一流の一流たる所以に迫る。
■人間のあり方にまで関わる自律神経
話はゴルフにとどまらない。
バッターは交感神経優位、ピッチャーは副交感神経優位。マラソンランナーは副交感神経優位、100メートルのランナーは交感神経優位。
といった興味深い例も紹介している。
ちなみに交感神経は活動状態で、副交感神経は休息状態で優位に働く神経のこと。ワードだけ聞くと難しく感じるこれらの人体機能が、実はパフォーマンスのみならず人間のあり方にまで広く関わっている、とても重要な器官であることを知らしめてくれる。
本人も匂わせているとおり、プロゴルファーとしての横田は一流ではないのかもしれない。しかし、だからこそ一流プレーヤーたちを冷静に分析、評価できていることもまた事実。いずれにしても、筆者でなければ捉えられない視点から、普段は気にも留めない自律神経と一流の関係を明らかにしてくれている。
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横田 真一(よこたしんいち)
茨城県水城高校、専修大学卒。ツアー2勝。2005年から2年間JGTOの選手会長。YOKOTA GOLF BASEでは、レッシュ4スタンス理論を用いて重心バランスの診断から始め、タイプ別にレッスンを行っている。2013年順天堂大学医学部大学院合格。妻はタレントの穴井夕子。大ヒットした著書に『プロゴルファーがやっているスコア作りのコツ! 』(角川書店)、『横田真一4スタンスゴルフ』(実業之日本社)などがあり、著書数多数。