男の子は「のりもの」女の子は「プリンセス」が好きなワケとは? 脳科学者・篠原菊紀先生に聞きました!
公開日:2018/4/5
「男の子の気持ちがお母さんにはわからない!」
「女の子の気持ちがお父さんにはわからない!」
なんてこと、ありませんか? だからと言って、自分を責めたりしないでくださいね。じつは、男女の脳は、異なる部位が異なる順序で発達します。それによって、どのように接したらいいのかも、コツがあるのです。
そこで、業界初「男女別の幼児ドリル」の監修をされた脳科学者の篠原菊紀先生に「男女の脳の違い」について伺ってみました。
男の子と女の子の脳は違うの!?
代表的な違いに、「女の子は右脳と左脳をバランスよく使う」という傾向が強く、「男の子は使わないほうの部位の活動を落とす」傾向があります。具体例でいうと、女の子は「マルチタスク型」。おままごとをしながら、お母さんの「ごはんよ~」という声に「はーい!」とお返事ができます。一方、男の子は、「のめりこみ型」。遊びに集中しているときは、お母さんの「ごはんよ~」の声は聞こえていないことが多いのです。
もちろん、すべてのお子さんに当てはまるわけではありません。そのような傾向があると思ってください。
よく男の子をもつお母さんからお聞きする悩みごとは「うちの子は、人の話を聞かない」というご相談。こちら、脳の得意・苦手で考えると少し、イライラが減ると思いませんか?お返事がないときは、右脳か左脳をフルに使って、集中しているとき。なにかを一生懸命、習得しているときかもしれません。そんなときは、「脳が活性化しているのね」と思えばイライラもやわらぐかもしれませんね。
男の子はパズルが得意で、女の子は間違い探しが得意
それぞれの脳が得意とする分野の傾向もあります。たとえば、男の子は「空間認知力」が高く、イメージを処理することが得意です。2つに分かれた絵を合わせる作業や、パズルの抜けたピースの形を見つけるのも得意です。逆に、間違い探しのように全体を見て、2つの絵の細かい違いを探すことが苦手だったりします。
女の子は、「言語能力」が高く、総合的な判断が得意です。先ほど、男の子がちょっぴり苦手な間違い探しなどは、女の子のほうが得意な子が多い傾向があります。また、ドーナツやケーキはスイーツだけど、ピーマンは野菜、など仲間分けをする、「分類力」なども得意です。逆に、抜けた絵柄を見つけて当てはめたり、長さや高さを比べたりする問題は、苦手な傾向があります。
幼児のうちは、これらの能力を平均的に、身につけておきたいのですが「得意」「苦手」があることで、勉強の好き嫌いにも偏りが出てしまう可能性があります。
これらの、「得意」「苦手」を、私は「脳のクセ」と呼んでいます。この「クセ」とうまく付き合うと、苦手なことは「得意」がカバーし、得意なことはさらに伸びていくと考えています。
たとえば、男の子が苦手な間違い探し。これを、大好きなヒーローを題材にした問題で出すと男の子は、集中力を発揮します。
間違い探しの得意な女の子には、少し難しめの問題を出します。ただし、大好きなプリンセスで出題するのです。すると、本来持っている以上の集中力を発揮して、難問にチャレンジしてくれます。
このように、「好き」と思えるもので、集中力を発揮させることが最短で習得できる道だと思います。
のりものが好き、プリンセスが好きなワケとは?
それぞれが好むもの。もちろん、個人差はありますが、男の子は「のりもの」や「恐竜」など大きく動くものを好む傾向があります。これは、古来狩猟生活をしていたときの、なごりでは? と考えられます。マンモスなどの獲物を見つけ、追いかけ、狩るために、「大きく動くもの」に興味を持って挑みます。冒険が好きで、スリルやリスクも好みます。よく、それをやったら、ケガするよ! ということに、平気で挑んだりしませんか?迷路の問題で、間違った方向に進むと、爆弾がボカーン! なんてリスクも楽しんで挑むはずです。
女の子は、「人の顔」とくに「ベビーフェイスバランス」と言われる赤ちゃんの顔のようなかわいいものを好みます。同じく古来、女性はさまざまな危険から赤ちゃんを守ってきました。赤ちゃんの些細な表情を読み取り、状態を確認してきたこともあり、人の表情を読み取ることが得意です。ディズニープリンセスの細かな表情まで、しっかり覚えていたりしませんか?お父さん、お母さんの顔もしっかりと見ています。また「共感志向」が強く、相手の気持ちを自分の気持ちに置き換えたりすることも得意です。迷路も、お友達が待っているゴールに行こう!というような出題にすると楽しみながら、進んでくれるでしょう。
好きや嫌いという感情の基本は、5歳前に決まると言われています。このだいじな幼児期に、「勉強」に対し、ネガティブな感情を抱いてしまうと自主的に能力が伸びていきません。好きという感情を、守ってあげ、嫌いに転化させないよう楽しいと思いながら、「お勉強」ができるようになるといいですね。
篠原菊紀(しのはらきくのり)
諏訪東京理科大学情報応用工学科教授。学生相談室長。1960年、長野県茅野市出身。東京大学教育学部卒業後、同大学院教育学研究科修了。学習時・運動時・遊興時・CM視聴時など、日常のさまざまな場面での脳活動を調べるかたわら、テレビやラジオなどで実験や解説を行っている。地元の「茅野市縄文ふるさと大使」も務める。『子供が勉強にハマる脳の作り方』(フォレスト出版)『男の子の脳を伸ばすのは、どんな親?』(宝島社)など著書多数。