仮想通貨と今までのお金の違いって? 仮想通貨の基礎知識を学ぼう!

ビジネス

公開日:2018/4/13

『日本で1日に起きていることを調べてみた』(宇田川勝司/ベレ出版)

 最近、ニュースなどで「仮想通貨」の話題を頻繁に耳にするようになりました。「安全性が高い」「将来性がある」と言われているけれど、コインチェック事件やマウントゴックス事件のような騒動も起きている。なんだか怖いし、自分は現金を使うから関係ないと思いつつも、すでに欧米では仮想通貨が流通している。いずれは私たちも仮想通貨を使わざるを得なくなる日がくるかも……。

 そんな不安を抱く前に、仮想通貨について学んでみませんか。『2時間で丸わかり 仮想通貨の超入門書』(鹿子木健/ぱる出版)は、私たちが普段何気なく使っているお金の成り立ちから、「ブロックチェーン」「ハードフォーク」など、仮想通貨の基礎知識を解説しています。

 仮想通貨は、決して怪しげなものではなく、私たちの生活を変える新技術といいます。そんな仮想通貨についてちょっとだけ学んでみましょう。

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■仮想通貨は、今までのお金となにが違う?

 円やドル、ユーロなどの法定通貨と仮想通貨の一番の違いは「発行ルール」だといいます。例えば、円は日本政府が発行する国債と引き換えに日本銀行が発行しています。つまり法定通貨はその国の政府(中央銀行)がコントロールしています。それは国際情勢や政治体制の影響を受けるのです。

「ギリシャ危機」や「英国のEU離脱」などでユーロの信頼が揺らいで円高を招いたことは皆さんも記憶に新しいかと思います。日銀は金融緩和に乗り出しましたが、円の発行量を増やすということは、円の価値が下がるということです。

 一方、仮想通貨は、それぞれ独自のルールで発行しています。仮想通貨の祖であるビットコインには、中央銀行のような発行主体がありません。システムをメンテナンスしたり、機能を改善したりする人たちはいますが、誰も発行量を管理していないのです。また発行上限が2100万BTC(BTCはビットコインの通貨単位)までと制限されているため、価値が落ちにくくなっています。

 政治に左右されない仮想通貨は、個人にとって有益で資産防衛に適しているといいます。

■仮想通貨のリスクと課題

「資産防衛と言うけど、コインチェック事件では580億円分のビットコインが流出し、大きな損失を出した人々がいたじゃないか!」と思う方のために、まず既存のネットバンキングと仮想通貨の取引所の違いについて説明します。ネットバンキングは口座に預けられたお金を管理しますが、取引所はあくまで売買を仲介する場であり、本来、仮想通貨は個人で自己管理するものです。

 ただし取引のたびに自分の手元から出し入れしていては不便ですし、手数料もかかります。そこでネットバンキングのように顧客の仮想通貨を預かるサービスを行う取引所が出てきました。コインチェックという取引所はこの形態でした。しかし顧客の大切な資産を預かっておきながら適正な管理を行っておらず、そのセキュリティ対策の不備を狙われたのです。

 仮想通貨の根幹をなす暗号化技術はいまだに破られていません。しかし私たち利用者や企業に仮想通貨を扱うノウハウや理解が十分には行き渡っていないのが現状です。

 著者は、仮想通貨は世界を変える画期的な発明と期待しながらも、投機的な目的で仮想通貨が注目されている現状を懸念しています。たんなるお金儲けで購入するのではなく、正しい知識と判断力を持って利用してほしいと訴えています。

 日本人の多くは「現金志向」で、お金の価値は絶対だと思いがちですが、銀行の金利は下がり続け、物価は上がるのに将来の年金は減っています。本書をきっかけにお金について考え直してみてはいかがでしょうか。

文=愛咲優詩