膝の痛み、肩こり、腰痛をやわらげるという “関トレ”を実際にやってみたら…
公開日:2018/4/14
いっこうによくならない肩こりや腰痛に打つ手はあるのか。また、運動時のパフォーマンスを上げるにはどうしたらよいだろう。あるいは、どうやったら疲れない体をつくれるのだろうか。
それぞれは別の問題で、別のアプローチになりそうだが、これらすべてを解決してしまう方法がある。それが本書『関トレ 関節トレーニングで強い体をつくる』(笹川大瑛/朝日新聞出版)で紹介されている「関トレ」だ。
関トレとは、“関節を守る筋肉”を鍛える運動で、理学療法士である著者の笹川氏が考案したものである。
「肘が痛い」「膝が痛い」などの慢性的な関節の痛みは、軟骨がすり減るせいでも、加齢のせいでも、性別のせいでもない。関節を守る筋力の低下で起こる。だから筋力を取り戻せば痛みはなくなる。
この独自の理論を展開する理由は、笹川氏が多くの患者のリハビリ、そして自身の研究を通して、「人は使える筋肉を優位に使って動いている、そして、そのまま同じところを使い続ければ関節に負荷がかかって関節痛の発症やケガをする」ということに気づき、「関節はひとつの筋肉では支えることができず、2つの筋肉がしっかり働いて初めて安定する」という結論に至ったからだ。
関トレは、関節単位で構成されている。腰椎と股関節、膝関節、足首、肩甲骨(肩甲胸郭関節)、肩、肘・手・指関節、の6つのメニューがあり、それぞれ2つの運動がセットになっている。2つ運動があるのは、ひとつの関節は2つの筋肉によって守られているからだ。全部合わせて12の運動で、慣れれば20分くらいでできるようになるとのこと。すべて行うのが理想だが、気になる部位だけでもよい。
どれも特別な器具など使わず、自分の体の重みだけで行う簡単な運動だ。10秒を1セットとし、それを3〜5回繰り返す。正しいフォームで行う、最大限の力を出す、これが関トレの大事な点だ。
関トレをすると関節の痛みがやわらいだり、軽減したりするといった効果をすぐに実感できる。これは一時的に関節を守る筋肉の筋力が高まったためで、この効果は1〜2日継続するとのこと。
試しに腰椎と股関節を安定させる関トレをやってみた。長座をした状態から膝を曲げて足を少し手前に引き、上体をお腹から足の方に倒すストレッチのような運動と、横向きに寝た状態で骨盤を頭の方に引き上げる運動がセットになっている。これをそれぞれ10秒5セット行った。時間にして5分ほどだ。
私は昨年の夏から股関節を痛めており、痛くて眠れないときもあるくらいなのだが、関トレ直後は本当に痛みがなくなっていたので驚いた。ちなみに、関トレの目的は動作の改善なので、バランスよく筋肉を使えるようになるためにも、痛みがなくなっても1〜2週間は継続する必要があるとのことだ。
なお、この腰椎と股関節を安定させる関トレは、腰痛や股関節痛、O脚、骨盤のゆがみやヒップアップにも効果があるという。
関トレは、関節痛だけでなく肩こりなどにも効く。また、90代でも関トレをやって症状が改善した人がいるなど年齢も関係ない。おまけに、運動のパフォーマンスを上げる効果もある。体の痛みや動きづらさを何とかしたい人のみならず、スポーツに熱中している人にもおすすめである。
文=高橋輝実