「マルチタスク」は脳のパフォーマンスを低下させる!? こんな人は要注意!
更新日:2018/4/23
「人生100年時代」と言われているなか、『一生使える脳 専門医が教える40代からの新健康常識(PHP新書)』(PHP研究所)で、「幸せな長生き」に最も重要なことは、脳のパフォーマンスを保つことだと著者で認知症専門家の長谷川嘉哉氏は語る。
たとえば、あなたが普段から仕事に追われていたり、疲れを感じていたり、「あれ、なんだったっけ?」といった記憶力低下を意識したりすることがあったら、それらは一つの危険信号だ。ではいったい何に注意して脳のパフォーマンスを保てばいいのだろう? 本書からいくつか紹介しよう。
■「俺は間違ってない!!」「俺はそんなこと言ってない!!」すぐにカッとなる人は要注意
論理的思考と感情のコントロールができなくなっている状態は、前頭前野の機能低下の可能性がある。
厚生労働省の調査によると、2012年の65歳以上の高齢者は過去最高の3079万人となり、そのうち、認知症と診断された人は約462万人。MCI(軽度認知障害と呼ばれ、認知症予備群と診断される)が疑われる高齢者も約400万人いると報告された。つまり、65歳以上の7人に2人が認知症発症者とその“予備群”となる計算だ。
このMCIは「一生使える脳」を保てるかどうかで決まる。最新の脳科学の研究では、脳への適切な刺激と生活習慣の改善によって、何歳でも脳のパフォーマンスは向上できるという。
■同時に処理できる情報は、5つから7つ前後
前頭前野のワーキングメモリ。これは、入ってきた情報を利用して作業できるように、一時的に保存して、脳内の他の情報と組み合わせて、知的生産作業を行ったり、優先順位をつけて処理したりする、いわば脳内の作戦本部だ。その処理能力は加齢によって衰え、50代に入る頃には最盛期に比べて30%ほど低下するそうだ。
■仕事の速い人、記憶力に優れた人は、一つ一つの作業をすばやく終わらせているだけ!?
「今、ここ」で取り組んでいる課題を片づけ、新たな情報をすばやく処理するためにはどうしたらいいのだろう?
(1)業務で生じた課題の中で、すぐに対応できるものはその場で処理。
(2)すぐに対応できない業務についてはメモにして状況を把握し、優先順位を書き出す。
(3)(1)(2)ができない場合は、文章や絵の形で書き出す。課題がビジュアル化され、全体のイメージを掴めば、停滞していた思考が活性化され、新しい対応策を見出せるはず。
■「マルチタスク」は、脳のパフォーマンスを低下させる!?
「ながら勉強」や「ながら仕事」など頭を使う作業を2つ組み合わせた「マルチタスク」。「テレビを見ながら、勉強する」「部下の報告を聞きながら、企画書を作成する」など、複数のことを同時にすると、ワーキングメモリは手一杯に。結果的に時間がかかり、パフォーマンスも下がる。タスクを細かく切り替えるのは脳を疲弊させ、大きなストレスになるとも!?
■「運動+頭を使う」がオススメ!
2つのことを同時に行う「ながら動作」のデュアルタスク。通勤しながら今日の予定を予習したり、復習したりと、有酸素運動と頭を使う脳トレを組み合わせることで、認知機能、記憶力を向上させることができる。
■目の疲れをケアすることが、脳の疲れを癒す
「目の疲れ」は「脳の疲れ」に直結する。電子レンジで温めた蒸しタオルやホットアイマスクで、5分ほど目元を温めるなどのケアをすれば、自律神経が改善され、眠る前なら良質な眠りに繋がる。
このように本書では、認知症専門家の視点による「脳」「身体」「外部環境」づくりの具体的な方法や様々なアイデアが詳しく解説されている。巻末の「爺ちゃんへの手紙」もぜひチェックしてもらいたい内容だ。
文=Sachiko