凱旋帰国から半年、新日本プロレスのニューヒーローとなりえるか!「ROPPONGI 3K」ことSHO&YOHのフォトブック発売!【前編】
公開日:2018/5/2
2017年10月の両国国技館大会で正体が明らかになった新日本プロレスのタッグチーム「ROPPONGI 3K」。凱旋帰国試合として臨んだIWGP Jr.タッグ戦で王座を奪取したことで話題を呼んだ。早々に女性ファンを獲得している二人がこのたびフォトブックを発売。帰国してからの約半年をふりかえりつつ、話を訊いた。
ROPPONGIを背負いすぎず、自分たちらしい試合を見せていきたい
――先日の4.1は残念でしたね。IWGP Jr.タッグ王座3WAY戦、攻勢かと思いきや、エル・デスペラード選手がSHO選手にピンチェロコをかけて、まさかの敗退で終わりました。
SHO もう、ぼろ負けって感じでしたね。
YOH ただ、僕たちにとっては良かったと思ってるんですよ。去年の10.9、両国国技館で「ROPPONGI 3K」として凱旋帰国して、いきなりIWGP Jr.タッグのベルトを獲ったはいいけど。
SHO 1月にヤング・バックス(マット&ニック・ジャクソン)にとられて。
YOH そのあとすぐに取り返して。
SHO 3月には、金丸義信&エル・デスペラードにとられてしまった。あのときも俺がデスペラードに技をかけられて終わった。
YOH 連続して、まさに完敗。でも、ここまで落ちたらあとは這い上がるだけ。僕らだけの物語をつくっていくチャンスでもあるなって。
SHO 失うものは、もう何もない。サクセスストーリーの始まりですね。
YOH こんなにおいしいシチュエーションはないと思っています。負けをどう料理していくかが、これからの勝負なので。
SHO 負けがおいしいこともある、って、プロレスにしかないおもしろさですよね。
――4.1のバックステージコメントでは「自分たちらしく戦って死んでいきたい」と。
YOH 強がるの、やめたんですよ。完敗を認めたのも、その一歩っていうか。あそこまで叩きのめされたおかげで、力が抜けた。その点でも、意味のある負けだったと思います。
SHO たぶん、以前だったら「あんなの俺たちの実力じゃねえ」とか言ってたと思うんですよ。でも違う、これが俺たちの今なんだ、って認めることができました。
YOH ROPPONGI 3Kだからって、“六本木”を背負いすぎてたところがあって(笑)。その窮屈さも解消できました。
――六本木を背負う、とは?
YOH 僕たちの勝手な六本木のイメージなんですけど、パリピみたいな感じでいなきゃいけないのかなって(笑)。入場するときの映像も、ギラギラでヒップホップって感じじゃないですか。
SHO 監督のロッキー(・ロメロ)さんのプロデュースだったんですけど。
YOH もともとロッキーさんが組んでいたROPPONGI VICEってチームが解散することになって、僕らに声をかけてくれたという経緯があったんで。
SHO 彼のイメージに寄せようとし過ぎていたかもしれないです。。だけど俺たち、しょせんは田舎者だし(笑)。
YOH 東京っていったら六本木だべ、みたいな(笑)。本当はネオンより赤提灯のほうが好きだったり。
SHO 僕なんて酒も飲まないから、“六本木のギラついた感じ”なんて全然知らないんです。
YOH 最初は映像にあわせて、自分たちを演出しようとしてみたけど、やっぱりそれじゃ続かないしおもしろくないなって。そういう意味でも、肩の力をぬいて自分たちらしくやろうって決めたんです。
SHO ロッキーさんもそれをサポートしてくれる、って。これからは監督じゃなく、対等なチームメイトとしてやっていこうって言ってくれた。
YOH ROPPONGI VICEを引き継いでいるから、名前としてはROPPONGIを残すけど、僕たちは僕たちらしくステップアップしていこうと。お客さんが求めてるのも、無理してチャラついて気取っている僕らじゃなくて、ヤングライオンから進化した自分たちだと思うんです。ありのままの僕らを魅せていくためにも、まずは5月から始まる『BEST OF THE SUPER Jr.25』で勝ち抜いていかないと。
SHO シングルマッチなんで。対戦カードはまだ出ていませんが、恐らく、金丸かデスペラードのどちらかと、俺らのどちらかが当たる可能性があると思うんですよね。
YOH その時に結果を残せれば、ベルト奪還のため二人にまた挑戦できる。再浮上のきっかけにしたいです。
選手一人ひとりのドラマが生まれる、
日本のプロレスならではのおもしろさ
――タッグマッチならではのおもしろさってなんだと思いますか。
YOH やっぱり、プロレスでしか見られない形式ってところじゃないですかね。タッチして交代しながら戦い、ときに2対1で技もかけられる。他の格闘技ではありえないですから。やってみると、シングルとは違う難しさもあって。
SHO 戦略が必要ですよね。2対1で有利な状況をつくったかと思えば、逆に追い詰められることもある。
YOH 勝つため、魅せるため、戦いながら色々と考えないといけないんですよね。僕らは、タッチワークの一連の流れだったり、細かい動きでおもしろくしていきたいと思っているんです。リング上で、手の指先から足の先まで魅力的に見えるように。それがなかなか、難しい。
――ヤングライオン時代から、海外留学もずっと一緒だったお二人をもってしても、難しいものですか。
YOH そうですね。喧嘩もしたことないんですけどね。
SHO 実は合わないのかも(笑)。
YOH おのおのの思想がありますからね。でもタイプの違う二人だからこそ、おもしろくなれるんじゃないかなって思ってはいて。SHOくんがパワーファイターでスープレックスをかけたりする一方で、僕はスピード感のあるテクニック重視で魅せていく。対比がわかりやすいほうが見栄えもいいんじゃないかって。
SHO あとはシングルで個々の実力も磨いて、タッグにいかに生かしていけるか。
YOH その意味でもやっぱり、鍵はスーパージュニア。僕らのシングルでの戦い方を、日本のお客さんはまだ知らないと思うので、新鮮におもしろがっていただけたらなと。
SHO パートナーなしでも、ここまでできるのかっていう。
YOH リングサイドで煽ったりはすると思うんですけどね(笑)。
SHO でもそこでも、まっすぐで泥臭い、俺たちらしさが出ると思います。試合後、デスペラードに「お前らは単純だからやりやすい、頭を使え」みたいなこといわれて、その時は何も反論できなかったけど。
YOH でも、そこが僕たちのおもしろさでもあるから。反則してでも勝ちにくるあいつらに対して、僕たちは正攻法でどこまでやれるか。突き詰めていきたいですね。そこで生まれるドラマに、お客さんも感情移入してくれるはずだから。
――プロレスにはやはりドラマが必要だと。
YOH ですね。プロレスファンだった時代から、それは感じていました。一回ハマったら見続けるのはなんでかっていうと、それぞれの選手にドラマ性があるから。ヤングライオンから育っていく姿、海外遠征を経て見せる変化、いい意味で裏切られることも多くて、観ていてちっとも飽きない。何回もベルトに挑戦し続けてきた人がようやく勝ち取った瞬間とか、感情が揺さぶられますよね。心臓を直につかまれるっていうか。
SHO 俺は、ファンだったころは、ただカッコいい人がカッコいい技をかけているのがすごいなってことばかりで。でも入門してからステージの裏側を含めて選手を間近で見続けているなかで、ドラマがあるんだってことに気が付きました。練習生時代に、中西(学)選手がケガで欠場していた時期があったんですけど、毎日道場に来て誰よりもトレーニングしているのをずっと見ていたんです。復帰したとき、両国で会場中から中西コールが沸き起こったときは思わず泣いてしまって。当時、プロレスっていいなあって改めて思いました。
YOH 戦う人たちを目の当たりにすると、単純に元気が出ますよね。で、観たあとは焼肉が食べたくなる(笑)。
SHO なる(笑)。俺たちもがんばろうって、モチベーションが上がりますね。
YOH でもこのドラマ性は、日本特有のものじゃないかなと思うんです。アメリカは強いか弱いか、いい試合かダメな試合か、それだけだから。
SHO ヤングライオンっていう若手の括りがあるのも、日本ならではですしね。
YOH 新日本は、人をしっかり育てて、その過程をお客さんにもちゃんと見せる。それがおもしろいんだと思います。
SHO 昔は雑用もしてて体もあんなにひょろっこかったのに、みたいな。長く見続けているほど、その楽しみが得られる。今だったら、川人とか。
YOH 世の中的にセンシティブな時期に「ミサイルになって帰ってきます」とか言うからびっくりしました(笑)。こいつは大物だと思いましたね。
SHO●1989年、愛媛県生まれ。2012年2月に新日本プロレスへ入門。16年、小松洋平(YOH)とともに無期限海外修行へ。メキシコでは「雷神」を名乗り、9月からはアメリカでYOHとのタッグチーム「THE TEMPURA BOYZ」として活動。2017年、「ROPPONGI 3K」として凱旋帰国。
YOH●1988年、宮城県生まれ。3歳の頃よりプロレス観戦。2011年、プロレス学校(プロレス道場ヤングライオンクラス)に通い、2012年に新日本プロレスへ入門。田中翔(SHO)とともに遠征したメキシコでは「風神」を名乗る。「THE TEMPURA BOYZ」の由来はSHOとともに好きだった「銀杏BOYZ」。
『SHO&YOH フォトブック「3K」』
東京ニュース通信社 3000円(税別)
あえて“プロレスラーらしさ”はなくして、SHO&YOHの肉体美や素顔の魅力を引き出したフォトブック。恋愛観を語った直筆50問50答や、長い下積み時代や海外遠征中のエピソードを語ったロングインタビューを掲載するほか、撮影裏を追いかけたメイキングDVDも付録。「このフォトブックはめちゃくちゃエモい!」とYOH選手も語る会心の出来。
【後編】につづく
取材・文:立花もも 写真:海山基明