佐渡島庸平 今月の「この本にひとめ惚れ」『Ex-formation』『詩人なんて呼ばれて』『アレクシス あるいは空しい戦いについて とどめの一撃』
公開日:2018/5/8
『ダ・ヴィンチ』本誌の人気連載コーナー「この本にひとめ惚れ」から、コルク代表・佐渡島さんのひとめ惚れ本を紹介。『宇宙兄弟』『ドラゴン桜』といった大ヒット作品を世に出した天才編集者・経営者が“ひとめぼれ”した本をチェック!
『Ex-formation』
原 研哉
平凡社 3200円(税別)
装丁:原 研哉、西 朋子
(日本デザインセンター 原デザイン研究所)
編集協力:武蔵野美術大学
造形学部基礎デザイン学科、
原研哉ゼミ(2004-2013年)
編集:日下部行洋
帯に「僕らは理解から逃れなくてはならない」とある。
「Ex-formation」とは「知らせること」ではなく、「いかに知らないかを分からかせること」だという。深く考えたい。
『詩人なんて呼ばれて』
谷川俊太郎:語り手・詩
尾崎真理子:聞き手・文
新潮社 2100円(税別)
装丁:新潮社装幀室
写真:新潮社写真部
編集:疇津真砂子
谷川俊太郎さんのインタビュー集。「名づけ切れない世界の豊かさ!」という、すばらしい帯コピーに惹かれた。
『アレクシス あるいは空しい戦いについて とどめの一撃』
マルグリット・ユルスナール:著 岩崎 力:訳
白水社 3400円(税別)
マルグリット・ユルスナール:著 岩崎 力:訳
装丁(日本語版):仁木順平
装画(日本語版):エゴン・シーレ
こちらの帯には「沈黙はすべて、口に出して言われなかった言葉から成っている」とある。
今回の3冊は実はセットでひとめぼれ。
「言語化できること」があふれ返っている時代、言語化できないものにこそ触れていきたい。
【青山ブックセンターにて彷書】
<プロフィール>
佐渡島 庸平(さどしま・ようへい)●1979年生まれ。南アフリカで中学時代を過ごし、灘高校、東京大学を卒業。2002年に講談社に入社し、週刊モーニング編集部に所属。『バガボンド』(井上雄彦)、『ドラゴン桜』(三田紀房)、『働きマン』(安野モヨコ)、『宇宙兄弟』(小山宙哉)、『モダンタイムス』(伊坂幸太郎)、『16歳の教科書』などの編集を担当する。2012年に講談社を退社し、クリエイターのエージェント会社、コルクを設立。現在、漫画作品では『オチビサン』『鼻下長紳士回顧録』(安野モヨコ)、『宇宙兄弟』(小山宙哉)、『テンプリズム』(曽田正人)、『インベスターZ』(三田紀房)、『昼間のパパは光ってる』(羽賀翔一)、小説作品では『マチネの終わりに』(平野啓一郎)の編集に携わっている。
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●コルク
写真=首藤幹夫
取材・文=田中裕