片づけられないのは、ADHDのせい? ADHDの特性を生かした簡単片づけ術

暮らし

更新日:2021/8/30

『「大人のADHD」のための片づけ力』(司馬理英子/講談社)

「部屋を片づけたい」と思っても、どうしてもできない。部屋の汚さのせいで、日常生活に支障をきたし、自己嫌悪に苛まれている…。そんな人は、もしかしたら、ADHD(注意欠如・多動性障害)という発達障害である可能性がある。『「大人のADHD」のための片づけ力』(司馬理英子/講談社)は、そんな「どうしても片づけられない人たち」のための片づけ手助け本。ADHDの特徴に沿って片づけ術を紹介する同書は、今まで片づけがうまくいかなかった人たちを救うに違いない。本書から、すぐに実践でき、かつ長続きする片づけのメソッドをいくつかご紹介するとしよう。

■短期集中! 片づけは15分間+休憩10分を1セットにしよう

 ADHDのある人は、決まり切った日常業務や単純作業を苦手としているため、片づけに取りかかろうとしても、集中力を保てず、他のことに気をとられてしまいがちだ。だからこそ、片づけは短時間に絞って、作業するといい。たとえば、片づけを1回15分間と決めてしまうといいだろう。タイマーを15分後にセットし、タイマーが鳴ったら、必ず10分間休憩。このセットを平日は1セット行えば十分だし、休日は2〜3セット行うと、まとまった作業ができる。短期集中で行えば、部屋の片づけは苦にならないはずだ。

■目立つアイテムを1つずつ集めることだけに集中する

 片づけは頭に入ってきた情報を次々と整理しながら進めなければならない。ADHDのある人はこれが苦手であるため、片づけの優先順位をつけられない。だから、どこから片づけようかと、その都度悩まなくてすむように、大まかな順番を決めておくといい。好きなものや目先のものに注意がいってしまう特性を踏まえて、目立つものから始めるようにしよう。大切なのは1アイテムずつ片づけていくことだ。まずは、服なら服、レジ袋ならレジ袋というようにそれだけを集めることだけに集中する。次第に部屋がすっきりとしてくるから、やる気も出てくることだろう。

advertisement

■「使う・使わない」で判断して、物を捨てる

 部屋が散らかっている大きな原因に、収納スペースに対して物の量が多すぎるという問題がある。そのため、部屋を片づけるには物の量を減らすことに集中する必要がある。物を減らすルールは、「いるか・いらないか」や「使えるか・使えないか」ではなく、「使うか・使わないか」。「いるか・いらないか」「使えるか・使えないか」で考えるのは、物に感情移入しやすいADHDの特性のために適切とはいえない。「使うもの」はとっておき、「使わない」ものは処分する。物を捨てる罪悪感をなくし、「使わない」ものは思い切って処分しよう。

■物の定位置を決め、使ったら元に戻す

 物に定位置を決めていないと、部屋は片づかない。物の定位置は使う時にさっと取り出せて、使い終わったらすぐに戻せる場所を考えて決めよう。ADHDのある人は扉のある棚やふたのある箱などを定位置にすると、取り出したり戻したりするのがめんどうになってしまうため、避けるのが無難。「その物を無くした時に最初に探す場所」を考え、取り出しやすい場所に配置するようにしよう。

 ADHDの特性を知れば、片づけは決して難しいことではない。部屋が綺麗になれば、気分も晴れやかになる。この本を読んで、部屋の片づけに挑戦してみよう。

文=アサトーミナミ