ビジネスの基本を知るだけで世の中の見方が変わる? 2時間で分かる経営学入門!

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更新日:2018/5/15

『大学4年間の経営学見るだけノート』(平野敦士カール:監修/宝島社)

 自己紹介などで「大学では何を勉強してたんですか?」と訊かれたときは、経営学科を卒業した私はいつも「経営学をたしなむ程度に…」と答えているのだが、だいたい「え、じゃあ経営者になるの?」とか、「経済学と何が違うの?」という反応が返ってくる。それくらい、経営学の中身はイマイチ知られていないようである。

 私は、経営学を、ビジネスの世界を見るための“ものさし”だと思っている。その“ものさし”を手に入れると、イケてる企業がなぜイケてるのか、自分が会社でどんな役割を期待されているのか、といったことを自分で理解できるようになる。さらに、数あるフレームワークをかみ砕いていけば、自分の仕事を改善するヒントになったり、チームで効率よく仕事をするための考え方が身についてくる。本書『大学4年間の経営学見るだけノート』(平野敦士カール:監修/宝島社)は、これまで経営学に触れてこなかった人にも、そんな“ものさし”を与えてくれる恰好の入門書だ。

 本書の構成は、「経営学ってなに?」というような初学者の疑問に答える形式で、経営学のエッセンスをイラストでわかりやすく解説している。いくつかの項目を見てみよう。

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■ブルー・オーシャンってなに?

 ブルー・オーシャン。ビジネス書なんかでも最近よく聞く言葉だが、「実は意味がよくわかってない…」という人も多いはず。ブルー・オーシャンとは、レッド・オーシャン(=競争の激しい血みどろの海。サメがたくさんいるイメージ)と対比される言葉で、ビジネスにおいては、まだまったくライバルのいない未開拓の市場のこと。

 身近な企業でこれをうまく見つけたのは、1000円カットで有名なQBハウスである。それまで理髪店と言えば、4000円くらいの価格で、散髪から洗髪・髭剃りまで全部やる、というのが当たり前だった。しかし、忙しいビジネスマンたちの“空いた時間に安く早く切りたい”というニーズ(これがブルー・オーシャン)を見つけ出し、10分で髪が切れるQBハウスが誕生したのだ。

■売れ筋以外を充実させるAmazonの戦略って?

 これは、ロングテールモデルといわれるビジネスモデルだ。例えば、欲しい本が地元の本屋になかったときでも、Amazonで検索すれば何点も在庫があったり、絶版になっていても中古品が買えたりするだろう。Amazonは、一般書店ではカバーできない“売れ筋以外”の商品の品揃えを充実させることで、消費者に「Amazonにならあるはず」という安心感を与える。そして、“売れ筋以外”の商品は、ひとつひとつの売り上げこそ少なくとも、積み重なれば大きな収益になる。巨大な倉庫を持つAmazonだからこそ、こういった戦略がとれるのだ。

 経営学を勉強したことのある人ならば、「何をいまさら!」という内容かもしれないが、基本事項をサッと復習できるのもこの本のいいところ。「3C分析」や「SWOT分析」などのメジャーなフレームワークも網羅されているので、デスクに1冊おいておき、必要に応じて参照する…なんて使い方もアリだ。

文=中川 凌