その転職、本当に後悔しないと言い切れますか? 会社を辞める前に考えておきたい39の質問
公開日:2018/5/23
電車に乗ると必ずと言ってよいほど「転職支援サイト」の広告を目にする。いつから“転職”という概念がこんなに一般的になったのだろう、と思いをはせる。“転職”のハードルは一時代前に比べると格段に下がっている。
毎朝眠たい目をこすりながらすし詰め状態の超満員電車に揺られていると、自然とどんよりとした気分にもなってしまう。そんな時に「今の会社を辞めて転職しませんか?」「あなたの力をほしがっている場所があります」という趣旨のメッセージが目に飛び込んできたら、気持ちが揺らいでしまうのも致し方ない。
転職ブームとも言える現代。でも一旦冷静になって思い直してみてほしい。一番大切なのは、「結果的に今よりも幸せになれるかどうか」だということを。
本稿では『会社を辞めて後悔しない39の質問』(俣野成敏/青春出版社)という書籍をご紹介したい。誤解を招かぬよう初めに断りを入れておくと、本書は転職自体を否定しているものではない。ただ重要なテーマとして、冷静な判断ができない状態で情報に流されて、仲介業者にマージンだけを抜かれて、結果として現在よりも不幸になってしまう人を減らしたいという点がある。会社を辞めるか否かで悩みが吹っ切れない人には、ぜひ読んでもらいたい1冊だ。
■結局今の会社や仕事から逃げたいだけじゃないのか?という問い
株式会社リクルートキャリアが2013年12月から2014年5月に転職した2274名に行った調査によると、転職理由でもっとも多いのは「会社の将来に不安を感じて」の44.6%。以下「時間的・精神的な余裕」が28.3%、「給料」が27.7%、「キャリアアップ」が26.8%と続いている(複数回答含む)。
著者によると、人は職場を離れるときにさまざまな理由を口にするが、結局のところは「お金・人間関係・やりがい」の3つの原因に集約されるのだそう。そのうちのどれでも、結局はその人の問題なので、転職して働く場所を変えるだけでは何も変わらないという。
転職を逃げ道だと考えてはいませんか?今いる場所を離れれば、何かいいことが起こると思い込んではいないでしょうか?
本書53ページ
将来の不安や上司に対する不満などを抱え込むあまり「辞めた方がいいのかも」という観念にとらわれてしまうと、他の選択肢が見えなくなってしまいがちだ。
多くの人は「今の自分を変えなきゃ」と思って転職しようとします。
しかしそれは場所を移しているだけで、自分を変えることにはなりません。
大切なのは自分が変わることですから、必ずしも場所を変える必要はありません。
本書55ページ
場所の移動よりも大切なのは、今いる“ここ”を変えることだと著者は説く。“ここ”を変えることができれば、この先の人生で似たような場面や難局が現れたときにも上手く対処することができるからだ。新天地に行くための“入場券”は、今この場所にあるということを忘れてはならないのだ。
転職が当たり前のこととなった現代。転職によって幸せや成功を掴む人が増えるのは歓迎すべきことだが、美味しいだけの話は存在しないのもまた世の常である。生半可な判断や逃げの姿勢で決断する消極的な転職によって、窮地に追い込まれてしまう人も少なくないのだ。悩んでいるときほど、判断力は低下する傾向がある。そのようなことが心配な方は本を手に取り、冷静に思考できる時間を設けてみてはいかがだろうか。
文=K(稲)