現役の同時通訳者が紹介する学習法! 初心者でもスキマ時間に使えるツールで英語力アップ
公開日:2018/5/28
英語の上達のために分厚いテキストを買ったが、最初の数ページで挫折してしまった。英会話スクールに入会したが、段々と足が遠のいてしまった。TOEICを申し込んだが、勉強しないまま試験当日を迎えてしまった。こんな経験がある方も少なくないのでは? やる気はあるのに、なぜか続かない。原因は、日常生活に組み込んで毎日の習慣にできなかったからかもしれない。
そんな方にオススメしたいのが『同時通訳者のカバンの中 ツールを使いこなせば英語力3割アップ!』(関谷英里子/祥伝社)だ。タイトルにある通り、著者は現役の同時通訳者。アル・ゴア元米副大統領やフェイスブックCEOマーク・ザッカーバーグ氏など、そうそうたる著名人の通訳を務めた経験を持ち、NHKラジオ講座「入門ビジネス英語」の講師をしていたこともある。
「同時通訳者」と聞いて「とてつもなく難しい英語の本なのでは」「同時通訳者(またはそれを目指す人)向けの本なのでは」と思い、読まずに通り過ぎようとしている方。英語のスキルを少しでも向上させたいと思っているなら、あなたも本書を必要としているはずだ。スキマ時間でコツコツ勉強できるツールや方法が多数紹介されており、自分に合った勉強法が見つかるだろう。
■音から入る勉強法をオススメする理由
日本で生活していると、日常的に英語を使う場面はあまりない。そこで、英語の音に慣れたい方にオススメなのが、「映画を見て英語を書き取る」勉強法だ。リスニング力とともに文法力も強化できるし、好きな映画から始めるなどすれば楽しく取り組めそうだ。特に著者がオススメするのは、ストリーミングサービスの使用。いきなり英語で見ても聞き取りどころではない場合でも、最初は日本語字幕付きで意味を理解しながら鑑賞し、2回目は英語字幕にして実際にどんな言葉が使われているのかを確かめる、という鑑賞法が可能だ。映画だけではなく、リアリティ番組やトーク番組も英語学習に効果的とのことなので、興味のあるものから始めてみては?
■目から英語を仕入れる勉強法はどんな人向け?
本書によれば、「英語力を維持向上させている人に話を聞くと、読書好きな人が多い」そうなので、「読む」勉強法も取り入れてみよう。英語学習のひとつとして、著者は「翻訳を読んでから原書に当たる」ことを提案。予め内容を理解していれば、知らない単語が出てきても、内容を「推測」しながら読み進めることができる。ビジネス書や論文など、興味のあるものを手に取ってみよう。物語が好きなら絵本を読むのもアリだそう。
■ツイッターを使って英語で情報収集すれば知識の幅も広がる
著者は、ツイッターでの情報収集もマメに行っている。例えば、雑誌の「エコノミスト」を定期購読しなくても、ツイッターでアカウントをフォローすれば最新記事の見出しを追うことができる。興味があるものに目を通すだけでも、世界の流れが分かるようになる。特に海外と英語でビジネスを行う方には、効果的な方法ではないだろうか。
上記以外にも、著者が講師を務めていたNHKのラジオ英会話やオンライン英会話、ポッドキャストなど、さまざまなツールが紹介されている本書。これから少しずつ英語の勉強を習慣にしたい方は、どれでも興味のあるものから始めてみてはいかがだろうか。やってみていまいちだと思ったら、別のツールを試せばいい。色々試す中で、自分に合った勉強法を見つけられればこっちのもの。すでに英語のスキルがあり、それをさらに向上させたい、または維持したい方は、著者が現在も活用しているポッドキャストなどを試してみるのもいいかもしれない。英語の習熟度や学習の目的に関わらず、幅広い方にオススメしたい1冊。もちろん、通訳者の仕事に興味がある方にも楽しんでいただける内容だ。
文=松澤友子