ビビりで無口で気難しい豆しばと、飼い主の愉快な日常♪

マンガ

更新日:2018/7/2

『豆しば こつぶ −−はじめまして』(キリ/産業編集センター)

 犬の種類を挙げてみてください…と言われて、多くの人がすぐに思い浮かべるに違いない柴犬。いかにも“犬らしい”姿と、癒される可愛さから、ペットの定番ともいえる犬種だ。

 そんな柴犬との生活を描くコミックエッセイが、『豆しば こつぶ −−はじめまして』(キリ/産業編集センター)。生まれてすぐにもらわれてきた柴犬(豆柴)“こつぶ”と、“こつぶ”が愛おしくてたまらない著者によって繰り広げられる、愉快な日常がちりばめられた1冊だ。

 日本人なら誰でも知っている柴犬は、ピョンチャン五輪・女子フィギュアスケートの金メダリスト、アリーナ・ザギトワ選手(ロシア)にプレゼントされた秋田犬とともに、日本を代表する日本犬のひとつ。

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 もともとは各地の農業・狩猟兼業農家で飼われ、日本の風土に根ざした地犬だったという歴史も。中でも小柄な種類を交配した豆柴は、小さな日本家屋でも飼うことができる、理想的な犬として愛されてきた。

 いっぽうで、「賢い」「忠実」「優しい」などの特徴から、海外でも大人気。「日本文化を象徴する犬」といった見方もされているそうで、日本人が「犬といえば柴犬」をイメージするのも納得できるかもしれない。

 そんな柴犬の魅力が存分に楽しめる本書。飼い犬に振り回される親バカならぬ“犬バカ”な著者の様子も微笑ましい。“こつぶ”と著者の日常に癒されまくる1冊だ。

 鼻がくっつくのを嫌がり、飼い主が一生懸命に揃えた食事用の深皿を引っくり返してしまう“こつぶ”。(けっこう自己主張が強いタイプらしい)。

 遊んで欲しくて飼い主を追いかけまわすくせに、いざ遊ぼうとすれば「ぷいっ」と横を向く“こつぶ”。(熱しやすく冷めやすい、あまのじゃくな性格らしい)。

 元気いっぱいでやんちゃに見えて、ちょっとした物音や猫を怖がり、お風呂タイムに心臓がバクバクしちゃう“こつぶ”。(本人にビビリの実感はないらしい)。

 女の人になでられると甘え、相手が男だと素知らぬ顔をする“こつぶ”。(どうやらオスらしい)。

 などなど、全60編にわたる“こつぶ”の奮闘(?)ぶりは、著者いわく“傍若無犬”。クスッと笑いながら癒される、楽しい毎日が綴られている。コマ割りから外れた形で随所に描かれる、著者のイラストにもれ出る思わずの本音が楽しい。

 一説によると、柴犬には猫っぽい一面もあるのだとか。服の中に入り込んでくる“こつぶ”の可愛さは、まさに猫のそれ。つまり、猫好きな方にも「たまらん!」と感じさせてしまう1冊…かも!?

 犬を飼っている方や、これから飼ってみたい方はもちろん、事情があって飼えないけれど…という方にも、おすすめできそうだ。自分と飼い主である著者の姿をダブらせ、イメージを膨らませるだけでも、萌えまくりなこと間違いナシ!

文=藤井淳