ベストセラー作家・湊かなえの「今」をまるごとお届けします!『ダ・ヴィンチ』2018年7月号特集番外編
更新日:2018/6/7
編集I
2011年2月号の湊かなえさん特集から、はや7年半。前回の特集時は、湊さんがお住まいになっている淡路島にうかがって、行きつけの図書館やカフェなどで撮影・インタビューをさせていただきました。前回も今回も特集の始まりは湊さんのお写真なのですが、淡路島の海がバックの前回、ホテルのきらびやかな館内がバックの今回では、雰囲気がかなり違います。その違いをもたらしているのは、そうした背景の様子だけでなくて、今回の湊さんの表情や佇まいには、ベストセラー作家としての経験がしっかりと滲んでおられるようで非常に感慨深く拝見しました。
5月23日に、湊さんの10周年記念作『未来』の刊行ということで、本作にまつわるお話もたくさんうかがいました。本作は書き下ろしで、当初はなかなか筆が進まなかったということですが、昨年10月に初めて自主的に“缶詰”に入り、しかも、それはご自身を追い込むためにかなり過酷な環境下の“缶詰”であったそうです。そんな決死の覚悟で臨んだ『未来』について、「私の10年間をすべて詰め込んだ作品にできたなと思います」と力強くおっしゃっていたのが、たいへん印象的でした。『未来』への思いは、新刊インタビュー、高山一実(乃木坂46)さんとの対談の中で、さまざまなエビソードとともに語られています。
湊さんというと、東野圭吾さん、横山秀夫さんと並び、著書の映像化が多い作家としても知られています。その中でもTBSのドラマ『夜行観覧車』『Nのために』『リバース』は、特に人気が高かった作品。今回、ドラマのプロデューサーである新井順子さんと湊さん対談していただき、ドラマのさまざまな秘話もうかがいました。ドラマファンだった方は必読です。
全国47都道府県サイン会ツアーも湊さんならではの企画。作家自ら地方在住のファンのもとまで来てくれるというなんともありがたいイベントです。そうした機会を最大限活かせるように湊さん発案でいろいろ工夫をされていました。読者の方々からもらった熱気を、ご自身を奮い立たせる力にしておられるところが、また凄い。湊さんの底知れぬパワーを感じた企画でした。
今回の『贖罪』のエドガー賞ノミネートを受け、アメリカで湊作品が注目されている背景を、訳者や版元の出版社、ニューヨークの書店などに取材しました。湊さんの作風やストーリーはアメリカの読者に非常に興味を持たれており、今後、欧米での翻訳が進む可能性が大いにありと。『告白』『贖罪』につづく翻訳作品が気になるところです。
そして、最後のロングインタビュー。ミステリーのジャンルからスタートした湊さんは、10年の作家生活の中でどんな思いで新たな作品に生み出してきたのか。今後の湊さんの活躍が楽しみになる読み応えのあるインタビューになっていますので、ぜひ、じっくり堪能してください。