本番強要にも、ガチ恋にも負けず…現役ヘルス嬢の本音
更新日:2018/6/13
早くも2巻が発売した話題作『リアル風俗嬢日記 今日も元気にヌいてます』(Ω子/竹書房)。以前に1巻のレビューをさせてもらったが(記事はこちら)、第2巻は「それ! 1巻の時に気になってた!!」という部分の掘り下げや、「困っちゃうお客」やプレイの内容、そして風俗嬢であることのマイナスの面……などが赤裸々に描かれている。
著者のΩ子さんは、本番行為なしの性的サービスを提供する、ファッションヘルスの現役風俗嬢。どこにでもいる地味女子だったという彼女がこの道に足を踏み入れたのは、「ご主人様」の「調教」の一環だったという。
現在は自分の意志で風俗嬢を続けているのだが、元はM奴隷。そして現役ヘルス嬢という彼女は、どうしても「普通」とは言い難い経歴だ。
しかしΩ子さんの視点は、かなり常識的。一般的な女性の視点から見た「性風俗」のコミックエッセイなので、女性が読んでも「私には理解できない世界だなぁ……」と一歩引いてしまう「不快さ」などもなく、面白い。
また、男性は風俗嬢の本音を(傷つかずに!笑)知られるので、性別問わず楽しんでもらえる内容ではないだろうか。
2巻では「M男性」へのプレイ内容の詳細が描かれていた。
Ω子さんは「S派」 なので、「攻められることが好き」な男性へのサービスが多いようだ。中には攻め好き男性もいるので、臨機応変に対応するらしいのだが、「この人、どっち?」という時は「静かな探り合い」が続いてしまうそう。
「基本的にお客さんの希望が第一です。だから恥ずかしくても男性は希望のプレイをはっきり言うのがオススメですよ!」とのこと。
入店当初は苦手だったという言葉攻めも、勉強熱心なΩ子さんは「さりげない会話にヒントが隠されている!」と、今ではマスターしている。
……と、作中の言葉攻め「例」をご紹介しようと思ったが、文字にしてみるとキワドサしかなかったので、省略する(笑)。Ω子さんの親しみやすい絵があるからこそ、エロい単語も比較的ライトに受け取れることに気づいた瞬間だった……。
さてさて、本作は「ポジティブ」に、「やりがいのあるお仕事」としての風俗嬢の実態が描かれているので、1巻を読んで風俗嬢の仕事に親しみを持った方も多いはず。だが、それに対し「こんなに綺麗ごとばかりのはずがない」といった読者の反応もあったとか。
2巻では、風俗嬢のマイナス面にも触れられている。
Ω子さんは実際、この仕事が原因でひとりの友人を失ってしまった。さらに「家族にはもちろん言えない」「友達やパートナーにも一生秘密を抱えて接していかなければならないかもしれない」と、風俗の仕事に付きまとうリスクについても、正直に語られていた。Ω子さんは何があっても「自己責任」だと考え、それでもなお「やりがいを感じる、この仕事が好き」ということで、風俗嬢を続けているのだ。
前作よりも内容のキワドサがアップし、楽しく読める反面、マイナス面もしっかり描かれているところが本当に「リアル」で、やっぱり読み応えのある作品だと再認識した。3巻も楽しみです。
文=雨野裾