上司の話がわからない? ならば部下のあなたが上司をコントロールすればいい
更新日:2018/6/12
あなたの上司は話がわかりやすい? 苦笑いで首をかしげる方も多いかもしれない。だが、「世代が違うから」「適当に聞けばいいか」「この会社だめかも…」と諦めるのはまだ早い。『上司が何を言っているのかわからない!というあなたへ』(松本幸夫/海竜社)は、話がわかりにくい上司を持つあなたがすぐ具体的に対応できるアイデアをたっぷりと紹介している。
■話がわかりにくい? ならばまず良い聞き手になろう
最も重要なアイデアは“部下が上司の話をマネジメントすること”である。本書では「上司の話がわかりにくいのはほぼ当然である」という前提から話が始まる。話が長い、繰り返しが多い、説明不足、一方的に話す…などが上司の話がわからない主な理由だろう。しかしこれらの問題は、聞き手のコントロールで対処できる、と作者は言う。それにはまずはあなたがしなくてはならないことがある。
・聞き方を意識する
上司に集中する(熱心に集中して見えるように振る舞う)
・質問をする
どれくらい、いくら、いつまで、誰に、という具体的に答えやすい質問を行う
・聞き返す
オウム返しやトゲトゲしくならないよう言葉を簡略にして聞き返す
この3点を意識することで、あなたは上司にとって良い聞き手になる。その次のステップが、上司の話のマネジメントだ。その方法は4つある。
■上司をマネジメントする4つの方法
【1】話し方をマネジメントする
話下手な人間は話が飛ぶことが多いという。そこで「ポイントを2つ」「キーワードを3つ」などと問いかけてみよう。繰り返すことで上司はいつしかポイントを押さえて話せるようになるのだ。
【2】教える快感を身につけさせる
「教えてほしい」と頼む姿勢を見せよう。“教える”という行為は本人にとって快感で気分が良くなるものだ。上司は教える手前、わかりやすく説明するには? と自問し工夫しながら教えるようになるだろう。
【3】時間を区切って説明させる
経過時間を意識せず話す上司は多い。たとえば「これから打ち合わせがあるので3分ほどで教えてほしい」ときちんと理由を伝えて時間を区切るようにお願いする。理由をつけるのは、人を動かすためのポイントだ。
【4】手本を見せてくれと頼む
上司の話がわかりにくいのは、事前に考えずに話し出すからである。だが「人にスピーチを頼まれたので、お手本を見せてほしい」とお願いしてみたらどうだろう。上司はわかりやすく説明しようと事前に考えるので、手本になる責任感も加わり、話は見違えるようにわかりやすくなるはず。
■上司とあなたを分類してみると――
いかがだろうか。どの方法も意外とすぐに実践できそうだ。さらに本書では、上司をいくつかのタイプに分類し、それぞれへの具体的な対処法を述べている。そして部下であるあなた用の、“話がわからない理由を見分けるチェックリスト”も載っている。その結果は「空気が読めない」「準備不足」「相手への無理解」「うっかりポジティブ」「意識が甘い」「このままだと危険」などに分類される。ぜひ実際にチェックして、自分のタイプと対応策を確認してみてほしい。
本書を読むと部下であるあなたの聞く力、上司をマネジメントする力、そしてあなた自身がわかりやすく話す力も身につくだろう。これはもしあなたが昇進したら、必ずすぐ役に立つことだ。
また本書のタイトルを見て、はっとした上司の方もいるはずだ。だが実は、本書は部下のマネジメントにも役立つ。うまくコミュニケーションが取れない部下を理解するための助けにもなるだろう。これから上司になることを目指す方も、今すでに上司である方も、ぜひ読んでほしい1冊だ。
文=古林恭