孫正義、スティーブ・ジョブズ、本田宗一郎……彼らはどんな名言に心を打たれたのか?
公開日:2018/6/20
「偉人の名言集」の本は世の中に多く存在する。しかしその「名言」が実際にどれだけ人を動かしただろうか? 『君はこの言葉を知っているか?』(夏川賀央/主婦の友社)は、名言がどれだけ影響して、有名経営者を生んだかを検証する、他にない「逆引き」的な一冊である。さまざまな時代や場所の賢者が放った言葉。それがこれまで多くの成功者を生んだように、あなたの人生にも作用するかもしれない。
本記事では、誰もが知っている3人の有名経営者を支えた言葉たちを紹介したい。
■孫正義が愛した言葉「世に生を得るは事を成すにあり」(坂本龍馬)
「世に生を得るは事を成すにあり」とは「人は何か事を成すために、世に生を受けている」という意味だ。孫正義氏は、人生の大事な局面に、繰り返し司馬遼太郎の『竜馬がゆく』を読んでいるそうだ。
実は、ソフトバンクグループのロゴの配色は、坂本龍馬の作った「海援隊」の隊旗を真似ている。それほど坂本竜馬に影響を受けている彼は「上に行きたい」「前へ進みたい」という推進力を強くもって成功してきた。
現在のソフトバンクの企業理念は「世界の人々から最も必要とされる企業グループを目指す」だ。「前へ前へ」「上へ上へ」と推進する力は、龍馬の言葉や生き方そのものだろう。
■スティーブ・ジョブズが愛した言葉「愚の如く、魯の如く、よく相続するを主中の主と名づく」(洞山良价禅師)
「愚の如く、魯の如く、よく相続するを主中の主と名づく」とは、禅師の洞山良价(とうざんりょうかい)の言葉で、「愚か者のように見えてもいい。つまらない人間のように見えてもいい。ただひとつのことをやり続ける人間こそ、自分の人生を生きている人間といえるのである」といった意味だ。
ジョブズはそれを彼なりに解釈し、がんを宣告されたのちにスタンフォード大学卒業式のスピーチでこう言った。「ハングリーであれ、愚か者であれ!」。若い頃から東洋思想を学んでいたジョブズらしい言葉だ。自分の道を貫いてきた彼の考え方をよく表している。
■本田宗一郎が愛した言葉「得手に帆をあげて」(江戸いろはかるた)
江戸いろはかるたには「得手に帆を揚ぐ」という札がある。それは「追い風に帆を揚げるように、絶好の機会が到来したので、はりきって行動を起こすこと」という意味である。
本田宗一郎はかつて「自分の好きなものに打ち込めるようになったら、こんな楽しい人生はない」「そうなるためには、得手不得手を隠さず、はっきり表明する。石は石でいい。ダイヤはダイヤでいい」と語っていた。彼は自分自身が「得意なこと」「好きなこと」ばかりを一生懸命にやって道を切り開いた。彼は、一人ひとりの社員が「これが得意だ」「これが好きだ」と表明するべきで、上司は部下が何が得意か見極める必要があると提言していた。
いかがだったろうか。本書の著者は「世の中は過去の言葉を継承しながら発展してきた」と語る。言葉は、それを知った誰かの背中を押す。本書のさまざまな言葉は、大きな展望を持って起業したい人や、小規模でも自分の店などを持ちたいという人におすすめの一冊である。
文=ジョセート