AIに負けないために必要なのは「性格」の力!? 性格スキルを鍛よう

暮らし

公開日:2018/6/21

『性格スキル 人生を決める5つの能力』(鶴 光太郎/祥伝社)

「人生100年時代」という言葉を耳にする機会が増えた。健康な高齢者は増加し続け、就業も70歳はおろか80歳まで見据えることができるようになるとも言われている。

 これからの人生設計を考えるならば、昨今の技術革新のスピードの速さも見落とせない。大学などで学ぶ知識の重要度はこれからますます低下していくだろうと予測されている。単純な「知識の学び」によって手に入る仕事は、AI(人工知能)に代替されてしまうと見られているからだ。

 そんなこれからの時代。AIに代替されないような普遍的な能力や技術を身につけていくためには何が必要か? このテーマを巡っては近年さまざまな議論がなされているが、「性格スキル」という斬新な切り口でこれからの時代の生き抜き方を提案する書籍を本稿ではご紹介したい。『性格スキル 人生を決める5つの能力』(鶴 光太郎/祥伝社)という1冊だ。

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■人生のあらゆる局面に影響する「性格スキル」とは?

性格はもちろん、生まれつき受け継いだものもあるが、性格スキルは変えることができる。それも大人になってからも、そして年をとってからも。

(本書4ページ)

 本書をご紹介するにあたって、この「性格スキル」という語について初めに解説せねばなるまい。

 普通のサラリーマンとして成功するためには学歴が大切で、そのためには勉強を頑張っていい大学へ行くことが大切、というのが一般的な認識だ。しかしながら、学力や成績だけでは必ずしも人生の成功は決まらないというのも、異論のないところだろう。

 確かに、学歴がなくたって成績が悪くたって成功している人は数多くいる。だからといって学歴や成績に意味がないわけではない。この学力と成功との不思議な関係性をひもといていくために有効なのが、米シカゴ大学教授のジェームズ・ヘックマン氏(2000年ノーベル経済学賞受賞)らを中心に研究されている、「認知能力」と「非認知能力」という概念だ。

 認知能力が学力テストで測れる能力だとすれば、非認知能力とはテストで測れない能力で、個人的形質(個人的な性格の特徴)と関係しているものだ。つまり、人生の成功には学力に代表される認知能力のみならず非認知能力が関わっている、というのが本書の切り口だ。

 最近では認知能力と非認知能力の研究も発展し、前者は「認知スキル」、後者は「性格スキル」と呼ばれているのだという。非認知能力を単に個人的形質と捉えてしまうと、それは遺伝的、先天的にほとんど決まってしまうものになるが、それを“スキルの一種”と捉えれば、むしろ人生の中で学び伸ばしていくことのできる、成長しうる能力だと言い得ることになる。

 本書では、この性格スキルを「ビッグ・ファイブ(5つの能力)」という分類体系に分け、それぞれの能力の効用や身につけ方が丁寧に説かれている。

(1)開放性
(2)真面目さ
(3)外向性
(4)協調性
(5)精神的安定性

 インターネットの浸透により、学歴を積み重ねることで身につく知識の重要性は低下している。さらにはAI時代の到来でそれがほぼ無意味になるという予測も存在するようだ。だからといって、学ぶことは無意味だと諦めて何もしない方がいいのだろうか? そこで重要となるのが本書で説かれている「性格スキル」を鍛える行為だと感じた。

 学びの方向性が見えにくくなった現代。これからの時代にマッチした「成功に近づくための手段」としても、本書の説く「性格スキル」は非常に有益だろう。

文=K(稲)