現金払いはもう古い? キャッシュレス化で楽して得する方法
公開日:2018/6/21
長財布を愛用すると、お金が貯まると聞いたことがある。いわく、紙幣が窮屈な思いをしないからお金に好かれる云々。ちなみに、私は高校入学時から変わらぬ二つ折り財布を愛用している。理由は手荷物の定位置にフィットするから。長財布はそのスペースに収まらないので、この慣習は変えないだろう。たとえお金に好かれないとしても。
買い物ではなるべく現金というのも変わらない慣習だ。クレジットカードは手持ちがないときの奥の手。交通系電子マネーは現金でチャージをし、交通手段の支払いにしか使わない。ポイントは特定の1~2店舗のものだけ。モバイル決済や仮想通貨といった、新しいものには手を出さない、というか難しそうで手が出ない。
しかし、世界ではキャッシュレス化が急速に進んでいるという。特に中国では、スマホの専用アプリでQRコードを読み取る、モバイル決済が主流となりつつある。お店の商品はもちろん、路上の屋台や物乞いにいたるまで、街中がQRコードだらけだというから驚きだ。
そんな中、日本はいまのところキャッシュレス化の流れが穏やかなように見える。本書『お金のミライは僕たちが決める』(我妻弘崇/星海社新書)によると、その主な要因はタンス預金をはじめとした現金信仰や、海外と比較して独自なクレジットカードのシステムなどにあるという。
しかし、そういった細かい解説は本稿では割愛させていただく。それよりも、もっと単純で身近な問題に焦点を絞りたい。まず日本のクレジットカードは、ほぼポイントとセットになっている。仮に日本のキャッシュレス化が進行したとして、そこにポイントがついてまわるなら早めに対応したほうが得。本書の内容を強引にまとめれば、要するにそういうことだと私は感じた。
キャッシュレス化の波に乗るか否かはさておき、そのメリットといえば、日々の買い物にクレジットカードや電子マネーなどを導入することで得られるポイントや、時間短縮効果だ。1回の恩恵はわずかでも、毎日積み重ねれば大きな差となる。
前述のとおり、クレジットカード決済にはポイントという付加価値がある。では毎日の食費や水道光熱費、保険料などをクレジットで決済するとどれだけのポイントが得られるのか。大都市におけるひとり暮らしの例を引用してみよう(クレジットカードのポイント還元率が1%の場合)。
・1か月の食料分支出4万3367円
⇒約430円分のポイント
・水道光熱費9614円+通信費6363円+友人や恋人との交際費1万5274円+タバコや身の回り用品など諸雑費1万5253円=4万6504円
⇒クレジット決済できないお店があることを想定し、約4万円と考え、約400円分のポイント
以上のほかに保険料や一部税金、教養娯楽費をクレジット決済すれば、1か月で約1000円分のポイントを得る機会がある。これを無視するのはもったいない!
とはいえ、クレジットカードで少額の会計をすることに抵抗がある人も多い。そこで活躍するのが、QUICPayやおサイフケータイといったモバイル決済だ。現金やカードのやり取りが必要ないぶんスピーディーなうえ、万が一スマホを紛失したり盗難にあったりしても他者は決済できない認証システムがある。一度試せばクセになること請け合いだ。
本書では、世界のキャッシュレス化事情や、日本が脱現金化するかどうかの展望など、紙幣だけではない「お金」の過去・現在・未来に関する考察にも多くのページが割かれている。時代はいまやキャッシュレスなのだ。が、財布にしっかり紙幣が入っているときの、あの安心感はキャッシュレスでは味わえないような……。
文=上原純(Office Ti+)