不仲な夫婦のへそくり金額は、仲良し夫婦の何倍!? 夫婦関係とへそくり貯金の傾向と分析

暮らし

公開日:2018/6/22

「いつ離婚してもいいように、こっそり蓄えを貯めておこう」…そう想像してみる人は多いかもしれない。そう考えてみるとき、あなたが想定する目標金額はどれくらいだろうか?
シニア世代(60代~70代)のへそくり金額と夫婦仲に関するアンケートの回答から、見えてくる衝撃の事実は――

■シニア夫婦の半数以上が「へそくり」を貯めている。その金額は?

 60~79歳のシニア男女を対象としたアンケートに答えたうち半数以上(53.5%)が、「へそくりを貯めている」と回答。へそくりと聞くと、タンスの中や額縁の裏などにこっそり少額ずつ隠している古典的なイメージをしがちだが、回答の平均額はなんと436万円。これは、30代男性の大卒・中小企業勤務者の平均年収に相当する金額だ。

出典「ハルメク調べ」

■男女別に比べてみると、へそくりをより多く貯めているのは女性

 へそくり額を男女で比べてみると、男性は平均330万円、女性は514万円という結果に。女性は男性の約1.6倍もへそくりを貯めていることが判明した。これは女性のほうがズルいのでこっそりお小遣いを隠している、という単純な理由ではないようだ。女性は、配偶者の財産管理に対する不安や、年金生活の不安、また夫より長生きするかもしれないという可能性などを踏まえた計画性や備えの意識の高さから、へそくりをより多く貯めているのかもしれない。

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出典「ハルメク調べ」

・女性がへそくりを貯めている理由(自由回答)
“自分の老後のお金に心配がないように貯金している。残されるのは私だから”(66歳女性)

“過去に配偶者が投資で心配して全財産を失った。それもあり、夫には内緒で300万円確保している。いざというときの「へそくり」は心強い”(61歳女性)

■想像通り? 夫婦仲が悪いほうが、へそくり額は多い

 男女比では女性のほうがへそくり額が高い傾向にあるようだが、「夫婦仲」の良し悪しによって、へそくり額は変化するのだろうか。本記事を読んでいる方は既にうすうす察知しているかもしれないが、夫婦仲とへそくり額の関連性について傾向をみると、「不仲夫婦」のほうが平均へそくり額は多い。特に、不仲夫婦であると答えた「妻」は、平均898万円ものへそくりを貯めているという衝撃の結果が示されている。

 この結果に接して、他人事ながら女性の強さには驚きを隠せないが、当の男性陣はどうやらそこまでの緊迫感を持っていないらしい。妻が着実にへそくりを積み上げ、離婚などの「もしも」に備えている一方で、不仲夫婦であると答えた「夫」は、「離婚は言ってこない、妻は一人では生活できない」と危機感はことさら薄く、高をくくっているようだ。もしかしたら、夫婦仲が悪いと感じる原因の一つは、こういった価値観のギャップやコミュニケーション不足にあるのかもしれない。

 なお、本アンケートによると、自分たち夫婦が「仲良しである」とした回答者のへそくり額は男女とも全体平均額より低く、仲良し夫婦と不仲夫婦の平均差額は240万円にも及ぶことも分かった。

出典「ハルメク調べ」

・不仲夫婦のコメント(自由回答)
【男性】

“女房はひとりじゃ生活できない。我慢してでも一緒にいた方がお互いにいいはず”(69歳男性)

“相手も小言いいながらも、離婚は言ってこない。相続とかにメリットがないからではないか”(63歳男性)

【女性】
“親としての責任は終わったし、へそくりも2,000万円あるから離婚したい”(66歳女性)

“実際問題、放り出したら夫はどうなるか。何もできない人だし。これから何とか折り合いを見つけていかないといけない”(73歳女性)

 ここに挙がっているのは男女それぞれ極端な例かもしれないが、危機感の薄いシニア男性の不遜な態度と、それに対する女性陣の現実的な思惑とのギャップがなんとも際立つ回答だ。

■夫婦間の不和が不安を生み、その不安がへそくり貯金につながる?

「不仲な夫婦ほど、早く離婚したいので蓄えを貯めている」――そう決めつけてしまうのは、早計かもしれない。夫婦のお金について不安に思うことを尋ねたところ、不仲夫婦ほど不安の数と、不安に思う比率が高いという結果が出ている。これは逆に考えると、夫婦がお互いに相談し合い、良好なコミュニケーションを取れる関係にあれば、老後の不安、お金についての不安も軽くなることにつながる。

出典「ハルメク調べ」

 また、離婚を考えたことがある、考えているという人は男女合わせて約半数。しかし、回答者の約9割が結婚生活30年以上の経験があることを考慮すると、一度は離婚のことを考えても実際には「離婚しない」人が大多数だとみられる。

出典「ハルメク調べ」

 老後を幸せに過ごすためには、生活するうえで無視できない「お金」についての不安をできる限り減らしたいと願うのは、万人共通だろう。そういった不安を生まないように、家計を共にする夫婦間で「お金の話題」についてコミュニケーションをとることが重要だ。人生100年時代と言われる現在、より長くなる老後を安心して幸せに過ごすためには、健康だけでなく「お金」についても積極的に不安を解決する姿勢をとっておくことが大切だろう。

この記事は「(株)ハルメクホールディングス 生きかた上手研究所」が2018年1月に調査実施したアンケートの分析レポート(対象:60~79歳の婚姻関係のある男女437名、うち男性200名と女性237名)を元にしています。