デキる人の話は分かりやすい! 論理的に話すコツをつかんで一歩先をいこう
公開日:2018/7/3
同じ内容を話しても、話が分かりやすく相手を惹きつける人もいれば、いっこうに相手に伝わらない人もいる。「あの人の話はなぜ分かりやすいんだろう。あんなふうに話せれば…」と思ったことはないだろうか。
話の分かりやすさには、論理性の有無が大きなウェイトを占める。そう聞くとなんだかハードルが高そうだが、『出口汪のマンガでわかる論理的に話す技術』(出口汪/SBクリエイティブ)によれば「論理的に考えて話すことは、誰もが後天的に身につけられるスキル」だという。
本書はマンガの強みでサラッと読めて要点が頭に入りやすい。その中から一部を紹介しよう。
■あるある! 話下手の典型3パターン
主人公のOL、小暮リリコは自他ともに認める話下手。仕事も失敗続きで「どうして私の話は他の人に伝わらないんだろう」と落ち込む日々。「話下手あるある」を具体的なキャラクターに落とし込んだ上司や先輩たちが脇を固め、著者の出口氏をモデルにした入口先生が彼らの悩みをスパッと解決していく。
流暢な話しぶりはカッコいいけど…な早乙女先輩
難解な言葉も駆使し、よどみなく話し続けるのがこのタイプ。なのになぜか聞き手の頭に残らない。その原因は、話し手が聞き手を見ずに自己完結しているから。ひとりよがりな態度は反発を招き「こういう人の話は受け入れたくない」と思われてしまう危険性も。
解決法:自分の話に酔いがちなので相手の反応も意識しよう。言葉数も減らして要点を明確に。
話があちこち飛びまくり…な飛高先輩
明るいムードメーカーが多いこのタイプ。アイデア豊富なのはいいけれど、話の流れがまったく見えず、周囲は話についていけない。
解決法:人間の意識の流れには脈絡がないことが多いので、思いついたままに話すと論理が飛躍してしまう。自分が何を言いたいかを意識的に整理してから口にしよう。
また、正しく話を伝えるには、「つまり=イコールの関係を示す」、「しかし=対立の関係を示す」などの接続語の役割をきちんと理解して使い分けることも重要だ。
人はイイが話のくどい田中課長代理
自分では丁寧に伝えているつもりなのがこのタイプ。だが残念なことに、人間には同じ話を繰り返されると受けつけられなくなるという性質があるため、くどくど話した後ではどんなに良い話も相手には伝わらない。
解決法:要点を完結にまとめ、早めのタイミングで結論をズバッと言おう。
■論理的に話すには「他者意識」が不可欠
それぞれの悩みをじっくりみていくと、共通する問題が見えてくる。それは「聞き手と自分の違い」に無頓着であるということ。この「自分と他人は違う」という認識を「他者意識」という。
人はそれぞれ背景も違うし、ある単語ひとつとってもイメージする内容は十人十色のはず。しかし多くの人は、相手も自分と同じ感覚でいてくれるものと思い込んでいるので、独りよがりな話し方になってしまうのだ。
それを防ぐためには、どんな時も「相手は自分のことを全然知らないんだ。だから、わかり合えなくて当然」と意識すること。それが論理的で分かりやすい話し方のスタートとなる。
このほか本書では、優れた文章構造の黄金ルールから、会議をスムーズに進めるためのさりげない気配りまで満載だ。
本書を通じて強調されているのは他者意識の大切さだ。自分とは違う相手を尊重することから論理性が生まれ、良い人間関係も築かれる。論理性は、いちど身につければ一生役立つ。これからの人生をさらに豊かなものにしてくれるだろう。
文=桜倉麻子