阪本奨悟「1stアルバムは“今の自分”が核。青臭くても、ストレートさ、シンプルさを大切に表現しました」
公開日:2018/7/6
毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある1冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、7月25日に、1stアルバム『FLUFFY HOPE』をリリースする阪本奨悟さん。福山雅治プロデュースによる『鼻声/しょっぱい涙』でメジャーデビューしてから1年。そこからの自身の集大成と“今”を込めたアルバム、そして初の東名阪ツアーについてお話を伺った。
「登場人物の、泥棒の黒澤、好きですね。悪党なんだけどロマンチストで、盗んだあと、必ず領収書を残すとか、人に危害は加えないとか、自分なりのポリシーを貫いていて」
伊坂幸太郎読者のなかでも圧倒的な人気を誇る、独自の行動原理を持つ、クールな泥棒・黒澤。『重力ピエロ』『ホワイトラビット』にも登場する伊坂ワールド常連の彼が、初めて登場してきたのが、阪本さんの選んだ一冊『ラッシュライフ』だった。
「伊坂さんの描く登場人物って、ファンタジーとまでは現実離れしていないけど、どこか不思議で、マンガのキャラクターに通じるような感覚を覚えてしまう。黒澤の映像を脳内で描いていくと、髭を生やしていて、天然パーマの髪に目元が隠れている、ダンディーな男、というのが、僕の持つ彼のイメージですね」
自分のなかで映像を鮮明に描く。それは詞を書くとき、心を言葉に変換するために、阪本さんがいつもしていることだという。メジャーデビューから1年、1STアルバム『FLUFFY HOPE』には、そこから生まれてきた、目の前に風景が広がっていくような楽曲が溢れている。
「このアルバムでは、“今しかいない自分”を核に、ストレートさやシンプルさというものを大事にしたいと思いました。そのなかでは、これまで作ってこなかったような楽曲にもトライしてみたかった。『bloom_~心の花~』という歌は、初めて女性目線で書いた一曲です」
女性にとっての幸せの在り処のようなものを、歌のなかに描き出したくて、時には周りの女性スタッフにインタビューし、その返答をもとに、深いところまで考えていったという。
「いつも僕の歌を聴いてくださっているファンの方々へ恩返しのようなことをしてみたかった。日々をやさしく過ごせる応援ソングのように届けることができたらいいなって」
そしてリード曲『夏のビーナス』は、新たな阪本奨悟の一面が前面に出た、思いっきり心を開放することのできる夏ソングだ。8月4日の大阪公演を皮切りに、名古屋(8月25日)、東京(9月1日)を巡る「阪本奨悟 ワンマンツアー 2018 SPROUT~綿毛の宴~」では、きっと最高の盛りあがり曲になりそう。
「本当に楽しみです。ライブを始めた頃は、皆さん、じっと見守るように、僕の歌を聴いてくださるという感じだったのですが、いつしか変化していって。今年の1月のライブでは、これまでハイヒールを履き、ドレスアップしていたファンの方たちも、ツアーTシャツを腕まくりして、“いくぞ!奨悟!”みたいな感じになってきて。この夏のライブでは、このアルバムに収めた新曲とともに、皆さんと思いきりハジケたいですね」
(取材・文:倉田モトキ 写真:干川 修)
アルバム『FLUFFY HOPE』
阪本奨悟
A-Sketch/発売 アミューズソフト/販売 初回限定盤(CD+DVD)3500円(税別)通常盤2800円(税別)
●TVアニメ『王室教師ハイネ』オープニングテーマ『しょっぱい涙』、映画『恋と嘘』の挿入歌『恋と嘘 〜ぎゅっと君の手を〜』、デビューシングルに収録の『鼻声』をはじめとする10曲を収録。ピュアな歌声とやさしいサウンド、阪本奨悟の世界観が響いてくる記念すべき1stアルバム。