「ヤりたい」に賭ける半端ない熱意! 日夜創意工夫を重ねる凄腕ナンパ師の斬新な技

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公開日:2018/7/7

『実録!美女ナンパ突撃ルポ やってみたらこうだった』(郷田ゴー/宝島社)

 街中でナンパされたことはないだろうか? 「お姉さん、いま暇してないですか?」「超タイプです、LINE教えてください!」といった台詞はわりと聞き慣れたものかもしれないが、世の中には日夜創意工夫を重ね、斬新な手法の声掛けを研究するプロの“ナンパ師”たちも存在する(何をもってプロとするのかは謎だが)。

『実録!美女ナンパ突撃ルポ やってみたらこうだった』(郷田ゴー/宝島社)を読むと、そんなプロ級ナンパ師の生態がよく分かる。遊び人ではない真面目な男性が本気で「いいな」と思い勇気を振り絞って声をかける場合もあるだろうが、やはりナンパをする男性の動機のなかでいちばん多いものは「ヤりたい」のようだ。女性からみれば夢のない話かもしれないが…。

 本書はそんなナンパの達人である著者が実践した、驚くべきナンパの実績が、成功か否かに関わらず紹介されている。その中で特に印象に残ったナンパ術を本稿ではご紹介したい。ナンパの達人を目指す方、不純なナンパから自分の身を守りたい方、どちらにとっても参考になることだろう。

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■偶然の出会いを偽装する! レモンコロコロナンパ!?

 ナンパは問答無用で無視すると決め込んでいる女性は多い。だが、どうやら世の中の女性たちは“運命”という言葉には弱いらしい。それならば“偶然の出会い”を装えば良いのではないか? そんな発想に基づいて著者が開発した「レモンコロコロナンパ」をご紹介したい。著者が考案・実行した手口はこうだ。

(1)美女とぶつかり、紙袋いっぱいのレモンをぶちまける。
(2)ぶつかった女性はレモンを拾い集めるのを手伝ってくれる。この時点で強い印象が残る。
(3)その場で別れるフリをして、こっそり尾行。
(4)タイミングを見計らって再び目の前に登場。
(5)「あっ、さっきのレモンの人!」となる。

 こんなことを大の男が真面目にやっているなんて…と、滑稽に思うかもしれない。だが、ナンパではない偶然の出会いを装うには確かに良くできた作戦である。

 スーパーでレモンを30個購入し、東京・秋葉原で作戦実行した著者。女性が転倒するとまずいので、肩を軽く接触してからレモンを派手に転がしてみる。コロコロ…。コロコロ…。しかし意外なことに、拾うのを手伝わずに無視する女性は多く、さらには策略そのものがバレてしまい逃げられることもある。

 そんな中、黒いコートとストッキングのセクシーお姉さんが著者の罠に引っかかる。「あ~ごめんなさい」と言いながらレモンを拾い集めてくれたお姉さんを尾行するとグッズショップへ。時間を置いて著者も店内に入り、「あれ? さっきレモンを拾ってくれた人じゃないですか?」と声掛け。そこから会話が弾み、ふたりはお茶へ。

「レモンを拾ってくれた人とまた会えたなんて、すごい偶然だよね」と著者。
「本当ですよ。私、ナンパはついていかないんですけど、思わず来ちゃいました」とお姉さん。作戦は大当たりだ。

 さらに翌週、著者は彼女と再会し、居酒屋へ。恋愛トークからのエッチトーク、彼女が酔ったところでカラオケ…と見せかけてラブホテルへ。

「え! ラブホですか?」
「大丈夫。なんにもしないよ。カラオケだけ。何想像してんの?」
「ならいいけど……」
 部屋に入った瞬間、すぐに抱き寄せキスすると、彼女もレロレロと舌をからませてきた。さっきまでの会話は暗黙の演技。ヤリたいのは一緒。男も女もプロレスラーだよなぁ。(本書34ページ)

 いやぁ、実にゲスで褒められたことではないのだけど、でもちょっと分かるかもしれない。かくして彼の努力は実を結んだわけだ。

■不純な動機で言い寄る人を見分ける教科書にも

 本書には他にも、著者の涙ぐましい努力が多数収録されている。リクルートスーツを着て就職説明会に潜り込んだり、観光地を一人旅するさびしんぼ女史を尾行して運命の再会を装ったり、婚活パーティーで肩書を医者と偽ってみたり、新幹線の隣の席の美女に話しかけたり、果てには深夜のド〇キホーテをうろつくギャルにハナから援助交際をもちかけてみたりと…。著者のナンパに賭けるその情熱と性欲は呆れるほどかもしれないが留まることを知らない。

 その姿は滑稽なピエロのように見えるかもしれない。動機も不純かもしれない。しかし、やっている本人は真剣だ。それぞれの斬新なナンパ術は、合理的な戦術に基づいており、女子がついてくるだけの理由があるようにも思える。その賛否は置いておくとして、生々しい現場を綴ったルポとして本書はかなり読み応えがある。

 ナンパを成功させたいと願う人にも、悪徳なナンパ師に引っかかりたくないと思う人にも非常に有益な1冊だと言えそうだ。

文=K(稲)

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