経済オンチに超朗報! 若手社会人がコレだけは知っておくべき重要キーワード
公開日:2018/7/9
社会人になって日経新聞やニュースアプリで経済ニュースを読み始めた、という人は多いだろう。すると、初めて泳ぎだした経済ニュースという大海で、はげしく押し寄せる経済用語の高波にのみ込まれてしまい、水際から早くも水没寸前という人も少なくないはずだ。
経済に関する“カナヅチ”の方々に、スイスイと経済ニュースや経済のしくみがわかるようになる知恵・ヒントを与えてくれるのが、『デキる大人になるレシピ 経済まるわかり』(大江英樹/日経HR)だ。本書は長年金融業界に従事し、現在は経済コラムニストとして活躍する大江英樹氏による、基礎から最新トレンドまでを網羅した経済キーワードの解説本である。
といっても類書は世に多いし、新鮮味を感じない人も多いだろう。しかし本書は一味違う。数多い経済用語の中から、特に経済オンチのツボをしっかりと押さえてくれるキーワードが厳選され、簡潔にわかりやすく解説されているのだ。
■あなたの人生の岐路には、常に「経済的な」問題が関わっている
具体的に内容紹介をしよう。本書前半の「下ごしらえ」(経済を理解するのに必要な知識や考え方の下準備)の章では、20のキーワードと、3つのコラムで、経済ニュースに頻出する基本的な用語をまず学ぶ。例えば「貯蓄と投資」「消費」「需要と供給」などについてが、図解入りで手短に解説されていく。
そのひとつに「機会費用」というキーワードがある。目にする頻度の割りにあまり理解されてなさそうなキーワードだが、著者によれば「経済を考える上では最も重要な概念」なのだそうだ。
「機会費用」とは、「複数の選択肢があった場合、もし他の選択肢を選んでいたら得られていた利益のこと」。例えば、高卒で就職して働くという選択肢を捨て、大学に4年間通うとする。その場合、高卒ですぐ働いたとしたら得られたはずの収入が「機会費用」にあたる。著者はこう記す。
つまり、その収入を捨てても大学へ行く価値があるかどうかを考えるのが、機会費用を考えるということなのです。
ビジネスの現場では、経営幹部たちは常にこの「機会費用」を考慮しながら、会社が取るべき戦略を考えているのだ。一方で私たちにとっても、「4年間かけて収入を得ないばかりか、大金を支払って大学に行くのだから、その機会費用をしっかりと将来、回収しないとすごい赤字になるな」と、気を引き締めなければいけないのだ。
■「会計」と「ファイナンス」の重要な違いを説明できる?
次に、「会計とファイナンスの違い」を紹介しよう。ひょっとして、「ファイナンスって会計を欧米風に言っただけだろ」などと思っていないだろうか? ところが大違い。
著者によれば、「会計が過去を振り返るために使うのに対して、ファイナンスは未来を考えるために使う」のだ。すなわち、過去にいくら使ったかを計算するのが「会計」。一方で、未来を考えて「投資・資金調達・利益分配」を考えるのがファイナンスということになる。
ここまで「下ごしらえ」よりピックアップしてきたが、本書にはそれに続いて本編となる「メインディッシュ」(日々のニュースやビジネスシーンで頻出のキーワードを知る)、「サイドディッシュ」(知っていればより自信が付く旬の時事キーワードを理解する)など、粒よりの経済キーワードがぎゅっと収められている。
「GDPやインフレ・デフレってなに?」「景気、株式、日銀の役割は?」「フィンテック、IoT、働き方改革っていったいなに?」という、今さら人には聞きづらい重要キーワードをしっかりと解説してくれる本書。知れば知るほど、あらゆる経済用語や経済のしくみが「私たちの生活に大きく関わっている」ことがくっきりと見えてくる。
さらに本書は、小学生高学年ぐらいからでも理解できるであろう平易な言葉が使われているので、親子で勉強するにもいいし、自分は経済オンチだと悩む就活生にも必携の1冊だ。
文=町田光