夏は「室温20~22度、布団なし」でぐっすり。科学的プログラムで「寝かしつけ」卒業!
公開日:2018/7/11
ママやパパにとって恐ろしい「背中スイッチ」という言葉…。それは、赤ちゃんを抱っこで寝かしつけ、「眠った」と思ってベッドに置いたら、「まるで背中にスイッチがついている」みたいに目が覚めたり、泣き出したりすること。理由がわからないだけに恐怖を感じていましたが、じつは「寝入ったときと、ベッドに置いたときの状態が変化したことで子どもが不安になる」という科学的な根拠があるのだとか。ってことは、その原因を1つずつ取り除けば解決するってこと!?
このように、寝かしつけや夜泣きで困るママやパパに向けて、科学的に裏づけられた解決策を提示してくれるのが『ママと赤ちゃんのぐっすり本』(愛波文/講談社)。最終的に目指すゴールは、寝かしつけの必要さえなくなる自分で寝つける「セルフねんね」です。添い寝ではなく、子どもを一人で寝かせたい人や、働いていて自分の時間を確保したい人にはうってつけ。そんな風に聞くと、「どんなねんねトレーニングなの?」となりますが、それ以前に赤ちゃんの「睡眠の土台」を整えるだけでも、かなりの睡眠トラブルは解消するといいます。
■夜泣きの原因は?
夜中に何度もぐずってしまい、子どもも親もヘトヘト…という場合は、子どもの起きている時間を見直してみて。起きている時間が長すぎたり、疲れすぎていたりして、夜泣きを繰り返すケースは多いそうです。
夜泣きは、睡眠環境も大いに関係します。筆者の1歳の息子もまさに夜泣きに悩まされていました。そこで「睡眠の土台」を見直したところ、21時から7時までぐっすり! 試したことは2つ。風邪をひかないようにと避けていたエアコンを稼働させて「室温20~22度」に。寝冷えしないようにかけていた夏布団は思い切って「布団なし」。すると、寝苦しそうにゴロンゴロンする様子もなく、夜中に何度も布団を掛け直すこともないので、隣で眠る母親の睡眠不足も解消。寝起きもすっきり笑顔を見せてくれて、ぐずりながら起きていた昨日までが嘘のよう。こんな簡単なことで!? しかも、今回試したのは、紹介されている内容のほんの一部です。
「20~22度じゃ寒すぎない?」と心配にもなりますが、「子どもは体重あたりの食事摂取量が多く、運動量も多いため、産み出す熱の量が多い」と言われれば納得。あの寝汗はそういうことだったのか。ただし、室温は子どもの平熱などによって左右されるので「寝汗をかきながら夜泣きをしたら暑すぎる」「子どもの手足が指先まで冷えていたら寒すぎる」を目安に。けっこう肌寒いので、大人はしっかり布団をかぶって眠りましょう。
■意外な盲点は「親子の幸福度」
また、睡眠トラブルの盲点になりやすいのが「親子の幸福度」。子どもは、親に愛されているという気持ちが睡眠の質と直結するといいます。「寝かしつけでギャン泣きするし、夜泣きもひどい」と話す夫婦が、1日3分、子どもと1対1で向き合ったことで驚くほどトラブルが改善したという報告も。ただし「ご飯を食べさせながら」や「お風呂に入れながら」の「ながら時間」はノーカウント。「混じり気なしの純粋な1対1の時間を」がポイントです。
■月齢別の寝かしつけスケジュールも
0歳から5歳までを細かく区切った月齢別のコツも紹介されています。たとえば、産後6〜8ヶ月の赤ちゃんは、夜泣きを繰り返すうちに「泣いたら親が来てくれる」と理解してゲームのようになってしまうため、泣く姿を見るのはつらいけれど、「最初の3分は様子を見る」ことが時には必要だとか。また、1日の過ごし方を紹介する「ぐっすりスケジュール」では、忙しいママが挫折しやすい「夜7時に寝るパターン」だけでなく、「夜9時に寝るパターン」が紹介されているところも嬉しいですね。
今まで良かれと思ってやっていたことが、睡眠の大きな「落とし穴」となっていることに気づかされる本書。「科学的」というと難しそうですが、平易な言葉で綴られているから読みやすいし、この本を効率よく読む「時短の読み方」も紹介されているので、今まさに眠れなくてつらいママもすぐに実践できるはずです。著者がすすめるのは、まずは2週間続けること。逆にいえば、2週間あれば変われるかもしれません。目標は、ママやパパもぐっすり眠って、笑顔で子どもに接することです!
文=吉田有希