理不尽なことが多い人ほど得をする!? 理解できない、納得できないことをチャンスに変えていくコツ
公開日:2018/7/17
日常のコミュニケーションの中で、理不尽を感じることはないだろうか。ちゃんと順番に並んでいたのに抜かされた、上司に無茶な仕事を押し付けられたなど、理不尽を感じたことを挙げていけばキリがないかもしれない。世の中にあふれる理不尽とうまく付き合っていくための方法が『「理不尽」が多い人ほど、強くなる。』(中谷彰宏/きずな出版)に、紹介されている。
本書の著者は、ビジネスから恋愛、生き方まで、さまざまなジャンルで数多くのロングセラーやベストセラーを送り出してきた中谷彰宏さん。作家として多くの著書を執筆しながら、テレビやラジオなどで幅広く活躍してきた。
「理不尽を受ける人」と「受けない人」がいるのではない。
「理不尽に強い人」と「弱い人」がいるだけだ。
中谷さんは冒頭で、「理不尽は全員に起こっています」と言い切る。理不尽なことというのは、自分だけに降りかかっていると思いこんでしまいがちだが、すべての人に理不尽なことが起こっている。自分自身の外側にあるものは理不尽で、理不尽との出会いはなくなることはないのだ。だから、まず自分だけではないことに気づき、「理不尽を受けない人」ではなく「理不尽に強い人」を目指すことが理不尽に負けないポイントになるというのだ。本書では、世にはびこる「理不尽」をチャンスに変えていく方法を、63の具体例を挙げて紹介している。
イヤな人には、「大変な仕事だな」と同情する
職場にイヤな上司がいたときの考え方として、本書で中谷さんは2016年に公開されたアニメ映画『この世界の片隅に』を紹介している。この映画の中で、中谷さんが好きな場面だというのが、絵を描くことが好きなすずちゃんが、日ごろのつらいことを絵に描いて発散しているシーン。すずちゃんが丘の上から船の絵を描いていたら、憲兵に「スパイ行為だな」と言われて、家宅捜索されることになる。憲兵さんが家宅捜索するあいだに、すずちゃんの家族はみんなうなだれているのだが、憲兵さんが帰ったあと、みんなゲラゲラ笑い始める。そして、家族の一人が「憲兵さんも大変だねぇ」と笑うのだ。お役目を果たしている憲兵に対して「大変だねぇ」と言って笑い話にできるところがたくましいと、中谷さんはいう。
戦況が悪化して食料が乏しいときも、花を摘んで味噌汁に入れたり、少ない材料からごはんを多くする方法を探して工夫したり、主人公のすずちゃんは逆境でも明るさを失わない。逆転の発想で状況を楽しむことができれば、理不尽を乗り越えることができる。イヤな上司がいても、「あんな上司役は大変だなぁ」と同情して、笑い飛ばすくらいの心持ちでいたい。
周囲から正当に評価されなかったり、イヤな仕事を押し付けられたりして、「なんで自分ばっかりこんな目に…」と、気が滅入ってしまうこともあるだろう。社会で生きていくなかで理不尽を受けない人になるのは難しいが、理不尽なことを感じたときの考え方で理不尽を乗り越えることは可能だ。その方法が本書にはしっかりと詰まっている。理不尽なことでへこんでいる人、理不尽なことを乗り越えたい人、理不尽なことで悩んでいる人を応援してあげたい人に向けた、理不尽をチャンスに変える一冊だ。
文=なつめ