「さあ、お前の罪を数えろ」―伝説の特撮作品『仮面ライダーW』の正統続編が、ここに始動!
更新日:2018/7/23
いわゆる「特撮ヒーロー番組」が、若手俳優の登竜門として認識されるようになって久しい。「オダギリジョー」や「要潤」など人気俳優を次々と輩出しているが、最近ではやはり「菅田将暉」がメジャー級だ。彼が出演していたのは『仮面ライダーW(ダブル)』という作品。2人で1人の仮面ライダーに変身するという設定が斬新で、「平成仮面ライダーシリーズ」の中でも屈指の人気を誇っている。その人気作が今、『風都探偵』(石ノ森章太郎:原作、三条陸:脚本、佐藤まさき:作画/小学館)として復活。ちなみに『W』は特撮番組で『風都探偵』は漫画だが、サイドストーリーなどではなく「正統続編」だと謳っている。
ここで『W』の解説を詳細に始めてしまうと紙幅が尽きてしまうので、極めて簡潔に概要を述べておこう。主人公である「左翔太郎」と「フィリップ」は、「風都」という街で私立探偵を営んでいる。風都では「ガイアメモリ」と呼ばれるアイテムで人間が超常の力を手に入れ「ドーパント」に変身、それによる犯罪が多発していた。翔太郎とフィリップは「仮面ライダーW」となってドーパントの事件を次々と解決していく。そしてガイアメモリを流通させていた組織を激闘の末、壊滅することに成功。風都に平和が戻ってきた──というのがTVシリーズのシンプルな解説である。
この『風都探偵』は、平和が戻った風都で「ある依頼」が翔太郎たちの「鳴海探偵事務所」にもたらされるところから始まる。それは不思議な力でカバンを奪っていった「魔女」を捜してほしいというものだった。依頼人が「魔女」にひと目惚れしたと理解した翔太郎は依頼を快諾。「魔女」を追いかけるうち、その正体が「ときめ」という女性であることを突き止める。しかしドーパントの仕業と思われる殺人事件の発生や、ときめを追いかけるさなかに翔太郎が迷い込んだ、風都とは違う「裏世界」の存在など、事件は複雑怪奇な様相を呈し始める。果たして殺人事件の犯人はときめなのか、そしてあの「裏世界」は一体なんなのか。翔太郎とフィリップ、そして鳴海探偵事務所の仲間たちが新たな脅威に立ち向かう!
TVシリーズ同様、エピソードは数話で完結する構成なのでテンポがよく分かりやすい。また脚本に三条陸氏、クリーチャーデザインに寺田克也氏らオリジナルスタッフが参加しており、一読して「正統続編」ということが肌で感じられるはずだ。そして鳴海探偵事務所に新たに加わる仲間や、「裏世界」に潜んで暗躍する危険人物の存在など、読者を飽きさせない仕掛けがふんだんに用意されている。もちろん「仮面ライダーW」の活躍も見逃せない要素。左右の色が非対称なフォルムが特徴で、2本のガイアメモリを入れ替えることで「サイクロンジョーカー」や「ルナメタル」など9種のフォームにチェンジ可能。さらに「ファングジョーカー」など特殊なフォームも存在する。ライダー対ドーパントの戦いも、回を重ねるごとに激しさを増していくことだろう。
最後にこの『仮面ライダーW』だが、盛り上がっているのは漫画界隈だけではない。バンダイスピリッツのフィギュアブランドである「S.H.Figuarts」の「真骨彫シリーズ」から、新作フィギュアが続々リリース中なのだ。受注販売が多いので受け付けが締め切られている商品もあるが、ファンとしては嬉しいところ。あとはやはり翔太郎役の桐山漣とフィリップ役の菅田将暉による新作映像が観たいと願うのは、いささか欲が過ぎるであろうか……?
文=木谷誠