年を取っても脳の働きはアップデートすることができる! その秘訣は日々の運動
公開日:2018/7/14
自分よりも学校の成績がいい
自分よりも記憶力がずば抜けている
自分よりも柔軟なアイデアを次々に生み出す
そういった人が現れると、「自分とは頭の出来が違うんだ…」とあきらめてしまいがち。だが中には、そんな才能あふれる人たちに負けまいと日々勉強や脳トレに励んでいるという人もいるだろう。
脳は絶えず変化し、今この瞬間も脳細胞が誕生・死滅を繰り返している。それは、さながら「固まることのない粘土」のよう。つまり、脳の性能の良し悪しは生まれ持って定められているわけでなく、アップグレードさせることができるということだ。
『BRAIN 一流の頭脳』(アンダース・ハンセン:著、御舩由美子:訳/サンマーク出版)は、そんな脳のメカニズムについて解説してくれている1冊だ。著者は、雑誌や新聞、テレビ、ラジオ、講演などさまざまな場で活躍している、スウェーデン・ストックホルム出身の精神科医アンダース・ハンセン氏。さまざまな事例と柔らかな語り口で、難解な脳の構造をわかりやすく説明してくれる。
■脳を鍛えるために必要なことは――
さて、脳は日々アップグレードすることが可能だと語ったが、果たしてどうすれば一番効率がいいのだろうか。なんと、その答えは“運動”をすることだという。身体を動かすことで、筋肉を鍛えることができ、健康になる。というのは周知の事実だろう。だが、同じように脳も鍛えることができるというから驚きだ。
脳を鍛える、ないしは楽器を習う、英会話を習う、パソコンを使えるようにする、といった新しい技術を身に付けるのに年齢は関係ないという。当然ながら、子どもの頃のように、どんなことでもスポンジのように吸収できる柔軟さはないものの、50歳、80歳を過ぎてもプラスの方向へ変化させることは可能。年齢によって失われるのでなく、さらに積み重ねることができるという事実は、心強い限りだ。
■集中力ややる気を高めるときにも、運動は効果的
本書では他にも、身体を動かし、脳を活性化させることで「集中力」「やる気」「記憶力」「アイデア」「学力」「健康」をより良い方向へ伸ばすためのヒントを紹介している。例えば、仕事や勉強に対しても無気力状態になってしまううつ病の症状。病院に行けば、抗うつ剤を処方してもらえるが、脳科学の分野からみると、週3回30分以上のランニングで抗うつ剤と同じ効果が得られるのだという。
もちろん、うつ病でなくとも「なんだか仕事に対して前向きになれない」とふさぎ込んだ気持ちになってしまったときは、運動をすることで前向きな気持ちになることができるという。
身体を鍛えるため、シェイプアップのためというだけでは、なかなか運動を習慣的に続けられないという人は多いだろう。では、脳を活性化させ、「集中力」「やる気」を高め、仕事のパフォーマンスを上げるため、と考えればどうだろうか。本書を読んで、「ちょっとウォーキングでも始めてみようか」となれば儲けものだ。ちなみに私は本書を読んでから、夜な夜なウォーキングをかねて近所のパトロールを始めている。
文=冴島友貴