20世紀を代表する彫刻家イサム・ノグチの活動を紹介! 東京では回顧展も
更新日:2018/7/14
20世紀を代表する芸術家、イサム・ノグチ(1904~1988年)は、詩人・野口米次郎とアメリカ人の母・レオニー・ギルモアのもとに生まれ、世界文化を横断しながら生き、彫刻をはじめ、舞台美術や家具、プロダクトのデザイン、陶芸やドローイングから、大きい作品では庭園やランドスケープの設計まで、幅広い巨人的な制作を精力的に行ったアーティストだ。
アメリカ・ロサンゼルスで生まれ、幼少期より幾度も日本との往復を繰り返した世界市民としての生い立ちや、女優・山口淑子(李香蘭)との結婚生活、また岡本太郎、丹下健三、北大路魯山人、谷口吉郎、フランク・ロイド・ライト、フリーダ・カーロといった錚々たる著名人との交友関係については、彼の生涯をつぶさに追ったテレビ番組などを通じて見聞きした人も多いかもしれない。
また、現在もデザイン系グッズを取り扱うインテリア店やミュージアムショップなどで購入することができる有名な提灯型の照明器具「あかり(AKARI)」シリーズや、ミッドセンチュリーのデザインを代表する美しいフォルムの家具など、私たちが生活のなかで実際に触れて使うことができる数々のプロダクトデザインを手がけてきたデザイナーとしてのイサム・ノグチを知る人も多いだろう。
『20世紀の総合芸術家 イサム・ノグチ ―彫刻から身体・庭へ―』(新見隆:監修/平凡社)は、ジャンルの壁を越えて、さらに世界を舞台に活動したアーティスト、イサム・ノグチの作品を幅広く扱う図録だ。まさに多種多様な作品解説を通して、「異文化の融合」や「生活と環境の一体化」といった彼が生涯をかけて目指した活動の全容が、作品写真、年表資料や専門家の解説とともにひもとかれる。
前述した照明器具「あかり」などのように手頃な価格で私たちの暮らしに取り入れられる「モノ」を、彼は“生きた彫刻”と呼んで、そのデザインや取り組みに一切の妥協はしなかったのだという。一方、彼が基本設計を手がけ、没後2005年に北海道札幌市にグランドオープンした「モエレ沼公園」は、総合公園の全体を「ひとつの彫刻作品」として捉え、山や噴水、遊具などを配した自然とアートの融合だ。ほかにも、彼は子どもが楽しむための遊具のデザインを数々手がけている。「アートや芸術はちょっと敷居が高くて…」とこれまで躊躇していた人も、ぜひ本書を手に取って、イサム・ノグチが手がけた多くの作品の中から“自分のお気に入り”を見つけてみてはいかがだろうか?
■東京・初台ではイサム・ノグチの大規模回顧展を開催中!
今日7月14日からは、イサム・ノグチのさまざまなジャンルにわたる作品の全容を俯瞰できる展覧会『イサム・ノグチ ―彫刻から身体・庭へ―』が東京・初台の東京オペラシティアートギャラリーで開催されている。
今年2018年はイサム・ノグチから没後30年。国内では約12年ぶりとなるこの回顧展は、「身体との対話」「日本との再会」「空間の彫刻―庭へ」「自然との交感―石の彫刻」の4章で構成され、日本初公開の作品も含む約80点の作品を展示するもの。
世界を舞台に活躍したイサム・ノグチの作品は、日本国内のみならず、欧米にも数々所蔵されている。ドローイングや彫刻、陶芸作品に加えて、庭園やランドスケープの設計図、模型や動画資料などが集まる本展は、9月24日まで開催中だ。
【展覧会概要】『イサム・ノグチ ―彫刻から身体・庭へ―』
・会期: 2018年7月14日(土)~9月24日(月)
・会場: 東京オペラシティアートギャラリー(東京都新宿区西新宿3-20-2)
・開場時間: 11:00~19:00(金・土は~20:00、入館は閉館30分前まで)
・休館日: 月曜日(祝日の場合は翌火曜日)、8月5日
・入場料: 一般1,400円、大・高生1,000円、中学生以下無料
・展覧会公式サイト:http://www.operacity.jp/ag/exh211/