JKをガチで口説く廃人教師。毒舌王子の参戦で三角関係勃発……?『墜落JKと廃人教師』2巻発売

マンガ

更新日:2018/7/23

『墜落JKと廃人教師』(sora/白泉社)

「死ぬ前に俺と恋愛しない?」――屋上から飛び降りようとしていた扇言(みこと)に煙草をふかせながら声をかけたのは、生徒からクズ認定されるあまり廃人よばわりされている物理教師の灰葉 仁(はいば じん)。生徒をガチで口説く廃人教師とぼっちなJKの恋の駆け引きを描いた『墜落JKと廃人教師』(sora/白泉社)。吊り橋効果か、はたまたただの気の迷いか。過去に影が見え隠れする灰仁(灰仁〈=廃人〉はあだ名)に、少しずつ惹かれていってしまう扇言の恋模様を描いた本作。2巻が発売された。

 基本的に灰仁は、教師としてまごうことなきクズである。過去にどんな傷を負っていようが、本当は生徒思いのいい先生だろうが、煙草を吸わないと妖精が見えるガチのニコチン中毒で、個人情報を紛失するわ、机のなかにはエロ本隠すわ、遅刻常習犯だわ、はた迷惑きわまりない。しかも2巻で明かされることには、扇言へのストーキング行為は、土日と会議のある日をのぞいてなんと週4。土日は解放してくれるあたり少しは常識をわきまえているのかしら……? なんて思ってしまいそうになるが、それがまさしく、灰仁の手。基本がダメダメなので、少しでもいいところが見えるとうっかり、ころっと、ほだされてしまう。扇言も、そして読者もしかり。要するにどこか憎めない、ズルい男なのである。

(c)sora/白泉社

 そのズルさは2巻冒頭でもいかんなく発揮。マラソン大会の直後、2人きりになりたかったから、とわざと扇言のポケットからネックレスをかすめとり(ちなみに灰仁がプレゼントしたもの)、慌てて探す彼女を抱き寄せるシーンなんかは倫理委員会が笛吹いて飛び出してくるレベルだが、その実、目的は1学年下の毒舌王子・一馬と扇言を出会わせることにあった。アイドルともてはやされても誰も近づいてきてくれない、こんなのていのいいいじめと一緒だと愚痴をこぼす一馬に、扇言は友達になろうと申し出る。これも計算のうちで、つまりは扇言をひとりにぼっちにさせないための手段だったのだ。目論見どおり仲良くなっていく2人を見て「やっぱり男はやめときゃよかった」とぼやくあたり、やはり聖人君子ではいられない灰仁ではあるのだが、そのなにげない見守り行為には不覚にもキュンとさせられてしまう。

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 本命チョコをくれるまで一切食事はとらないと宣言したり、わざと用具室に2人きりでとじこめられてみたり。ストーカーから助けてくれたのはありがたいがそれも自身が重度のストーカーであるがゆえだし、1巻に続き灰仁の愛情表現は過剰に過ぎる。それでも、教師として守るべき一線は理性で守ってくれていることを、扇言は少しずつ理解していく。自分がJKである以上、灰仁の告白を受けるわけにはいかない、そう悩んでいることを知っているからいつも逃げ道を用意してくれることも。だが、過去に自殺未遂を繰り返していたらしい灰仁の過去に扇言も少しずつ触れはじめ、距離が近づくほどに理性のタガは緩んでいく。深まっていく2人の関係に期待しつつ、いまのところ完全にアウトオブ眼中だけれど応援せずにはいられない一馬のアピールにも注目したい。

文=立花もも