“なぞなぞ”で京都がもっと好きになる! 日本の伝統をかわいく案内する観光絵本『京都 和のなぞなぞ絵本』

文芸・カルチャー

公開日:2018/7/21

『京都 和のなぞなぞ絵本』(石津ちひろ:著、もりゆか:イラスト/白泉社)

 歴史ある魅力あふれる街、京都。それを題材にした書籍や映画は数多くありますが、かわいい絵本にしてしまったのが『京都 和のなぞなぞ絵本』(白泉社)です。おさるの「まさる」が、うさぎの「みみこ」、にわとりの「わとり」を案内するのは、7ヶ所の観光名所。そこで、京都にちなんだ50問以上のなぞなぞを出題します。あなたは何問正解できるでしょうか?

 夏恒例の「祇園祭」は、京都を代表するお祭りの1つです。にぎやかで華やかな「やまほこ」に、みみこやわとりは興味津々。そこで、まさるが出したなぞなぞは、「やまほこ」から聴こえてくるお囃子の中で「トントン トントン」とお腹に響いてくる楽器を当てるもの。

 答えは「太鼓」。笛の音に太鼓の音、そしてコンチキチンという鐘の音。聴く人によって記憶に残る音色が違うのが面白いところ。1人旅でじっくり堪能するのもいいですし、見たもの聴いたものを、家族や友人とあれこれお喋りしながら歩くのも楽しいものです。

advertisement

 次に登場するのは、雪をかぶった冬の「金閣寺」。イラストからも、白と金のコントラストの美しさが伝わってきます。ここで、まさるは、「臼でひいた」「みどり色の」「にがいけど、ちょっと甘いもん」は何? というなぞなぞを出しました。

 答えは「まっちゃ」。京都を訪れると、そこかしこで抹茶や抹茶スイーツをいただくことができます。抹茶のお作法を知らないことを心配しているなら、「感謝の気持ちを込めていただけば大丈夫」という、まさるの言葉を参考にしてくださいね。

 春の風物詩「都をどり」や夏の「祇園祭」、紅葉が美しい「渡月橋」に雪の金閣寺と、四季折々の楽しみを紹介している本書。朱色や群青色など日本の伝統色を感じさせる昔話のような風合いのイラストと、まさるが話すやわらかい京言葉が、読む人の心を京都にいざないます。なぞなぞは観光案内の役割を担っていて、うーむと頭をひねりながら、京都をより深く知ることができる。「京都×なぞなぞ」の魅力はそんなところにあります。

 すっかり京都の虜になった、みみことわとりは、また訪れることを約束しています。なぞなぞで京都の魅力をストックして、次に訪れるときは今回以上に楽しめるはず。なぞなぞで、もっと好きになる京都。あなたも味わってみませんか?

文=吉田有希