「公立・塾なし・海外留学なし」でハーバード大へ! 遊ぶように学べる、最強の家庭教育って?

出産・子育て

公開日:2018/7/24

『世界基準の子どもを育てる 成功する家庭教育 最強の教科書』(講談社)

『世界基準の子どもを育てる 成功する家庭教育 最強の教科書』(講談社)は、幼児から大学受験生までを一緒に学ばせるという画期的な無学年指導を行って6年目になる「ブルーマーブル英語教室」の代表・廣津留真理さんの著書。廣津留さんは、長女を公立校からハーバード大学入学へと導いたことでも知られる。

 本書では、廣津留さんが「グローバル時代に通用する子どもを育てる」ために長女に行った家庭教育の、考え方やノウハウが紹介されている。本書を読めば、“本当に必要なこと”を学ぶ場は、学校ではなく家庭だということに気づくはずだ。英語の学習方法を読んでいても、いわゆる学校で学ぶような常識が覆されることの繰り返しだった。

●アルファベットの書き取りはしない

 廣津留さんのメソッドの中には、「暗記が大事」という考え方が常にある。それは、言葉を覚え始めた子どもに英語を教えるときも同じ。長女が1歳から学び始めたときは、いわゆる「アルファベットの書き取り」や「英語の歌」を一切やらず、いきなり英単語の暗記からスタートさせたそうだ。単語を覚えれば、アルファベットは自然と頭に入るからだという。教材として使うのは、自作のオリジナル英単語カードだけ。たとえば、表に「猫の絵」、裏に「cat」と書かれた画用紙を使って…、

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1)表の絵(猫)を見せる
2)catと発音する
3)くるりと裏返して裏の英語(cat)を見せる

 といった具合。1つのカードを見せている時間はほんの数秒で、とにかく次々とカードを見せていく。この学習で守るべきルールは、「間違いは正さずにスルーする」ことと、「『これは何?』などと子どもを試さない」こと。雰囲気がテストっぽくなると、子どもたちのやる気を削いでしまうからだ。また、「これは猫よ」などの和訳もしないのが廣津留流。この頃に教えておきたい単語や、絵の描き方のコツも丁寧に紹介されているので、今すぐにでも始められそうだ。

●幼児や小学生は1日5分の「なぞり読み」

 幼児から小学生が英単語を覚えるには、英単語に指を添えながら読む「なぞり読み」がおすすめだという。この読み方だと、いま自分がどの文字を読んでいるのかが一目瞭然。1回の音読で(1)耳で聞く(2)声に出す(3)それを自分で聞く、と3回も英語が入るので、より暗記しやすくなるそうだ。1日5分で20語を覚えることを目標に、単語帳を使って次のように学ぶ。

1)英単語に指を添え、目でじっと見る
2)英単語の音声データを再生、または親が音読する
3)英単語を左から右に指でなぞりながら「baseball」と子供に音読させる
4)すぐに、英単語に対応する日本語を「やきゅう」と音読させる
5)1単語につき2秒ほどじっと眺めて、そのビジュアルを脳裏に焼きつける

 ここでもやはり、書き取りはしない。理由は、単語が読めるようになれば、いずれその通りに書けるようになるから。廣津留さんの塾では、幼稚園から小学校1~2年の子どもたちが、1週間100個のペースで英単語を暗記しているという。

●単語の暗記なくして英語は上達しない

 廣津留さんは「知っている単語が多ければ多いほど、英語力は高まる」と言い切る。どんな文章も所詮は単語の集まりで、単語の意味がわかれば長文は読めるからだという。日本では文法を熱心に教えるけれど、英単語を知らなすぎるので、いつまで経っても文章のバリエーションが増えない。だから、文法の理屈を覚えるより、まずは英単語を一つでも多く覚えてほしいのだと語る。

 こうして英語を学び、目指すところは「高校3年までに英語の論文などのアカデミックな英文を読み書きできること」だ。この目標をクリアすれば、社会に出てからもグローバル社会で通用する英語力が身につく。逆算すると、小学6年の段階で英検準2級(高校中級レベル)を身につけておくのがベストだとか。このスピード感は家庭教育だからできることであり、やり遂げるために必要な「時間管理のコツ」や「やり抜く力を身につけるコツ」も本書では紹介されている。

●遊びのように学ぶから、子どもがみずから勉強する

 廣津留さんいわく、学校のように教科書がない家庭教育は「準備が10割」。その環境さえ整えば、みずから学ぶ子どもをニコニコして見守るだけだ。これだけハードルの高い目標を掲げているにもかかわらず、「我が子にもできるかもしれない」と思えてしまうのは、この勉強法が大人からの押し付けではなく、子どものやりたい気持ちを尊重しているからだろうか。なぜその学習法が必要か、どんな注意が必要なのか、読み手が納得できるように理路整然と、しかも懇切丁寧に語られているところも本書の特徴だ。こういう本は、ありそうでなかなかないと思う。本書を読んだら、あとは、やるのみ!

文=吉田有希