今日の常識は明日の非常識? あらゆるものを「?」から見つめるホーキング博士の「疑う力」【ホーキング名言集(2)】
公開日:2018/7/27
いつの時代も虚実ない交ぜの世の中だが、たくさんの情報が飛び交う昨今、これまで以上に「本当のことってなんだろう?」という疑問が湧いてくるのではないだろうか。
今回の西日本豪雨の最中、またもデマゴークが広まった。私も騙された一人だが、大災害が起こった時に「拡散希望」と書かれた文面で、さも真実のようなことが書かれていたら、その真偽は見抜けない。
これは、災害時だけの話ではない。
あなたは、テレビの情報を鵜呑みにはしていないだろうか?
今の常識が普遍的な答えだと思っていないだろうか?
ホーキングは、以下のような言葉で、この現実に警鐘を鳴らした。
湾曲した金魚鉢に金魚を入れておくことは、現実を歪んだ見方で見てしまうので残酷であると言った。
しかし、私たちは歪んでいない現実を知っているのだろうか。
私たちがみて、まっすぐなものは、本当はまっすぐではないかもしれない。
私たちが信じているものは、本当にその形なのか。
私たちが知っていることは事実なのだろうか。
同じものでも様々な視点から見ると、それぞれの顔がある。
美しいはずのガラス玉が、ある角度ではいびつな曲線を描いていることもあるだろう。
世の中も同じ。私たちが見ている角度だけで、真の形はわからないのだ。
地球が宇宙の中心だという天動説を信じていた時代、それが真実だった。
しかし今から見れば、それは歪んだ考え方だ。
私たちは、「今の社会」「今の常識」が歪んでいるのかもしれないということを知るべきなのだ。
またホーキングは、日常生活の中で、私たちが「何もない」と思っている、思い込みにも重要な指摘をした。
よく「ゼロから1をつくる」という人がいるが、それは本当にゼロなのだろうか。
ゼロの世界って、本当にあるのだろうか。
あの宇宙にも見えない重力があるのに……。
重力のような法則があるから、宇宙は何もない状況から創造することができるのだ。
ホーキングは、「このような自発的な創造が、無ではない有、すなわち、宇宙と人間が存在することになった理由だ」と続けた。
宇宙は、重力があったからこそ生まれたのだろう。
どんな状況下にいても、この世の中に「1」は存在する。
ゼロ、無から始まるものなどない。
必ず「1」以上はあるのだ。なぜなら本当に「0(ゼロ)」の状態であれば、何も創造
できないからだ。何もないと言いながら、自然の中には草木、雲、空、鳥や虫、川や海な
ど多くが存在する。
またアスファルトやコンクリートに囲まれた中にも、様々なものがある。
無意識のうちにこれらを発想のもとにして、人は新たなものを創り出す。
だからこそ文明はでき、科学は発展してきたのだ。
どんな時でも「1」に気づくことができれば、それを10にでも100にでもする可能性がある。
あたり前のことが、当たり前じゃない。
目に見えるものだけが、存在するものじゃない。
こんなことに気づけたら、今の世界はもっと楽しくなるかもしれない!
文=桝本誠二